第1 計画の基本的事項 1 計画策定の趣旨と目的 (1)計画策定の趣旨  道では、平成15年(2003年)3月に21世紀初頭の北海道における障がい福祉施策の基本的な方向と主要な施策を示す「北海道障害者基本計画」(以下「基本計画」という。)〔第1期計画期間:平成15〜24年度(2003〜2012年度)〕と、その着実な推進を図るため、「前期実施計画」〔計画期間:平成15〜19年度(2003〜2007年度)〕を策定し、「ノーマライゼーション(用語解説1番)社会の実現」を目標に、地域生活の支援体制の充実など、各般の施策の推進を図ってきました。 平成15年度(2003年度)からは「支援費制度(用語解説2番)」が導入され、障がいのある人の自己決定や選択を尊重した利用者本位のサービスが提供されることとなりましたが、「支援費制度」は、精神障がいのある人を対象としていないことや、支援の必要度を判定する客観的な基準がなく支給決定の過程が不透明であることなどの課題があったことから、制度全般が見直され、平成17年(2005年)11月7日に「障害者自立支援法(用語解説3番)」が公布、平成18年(2006年)4月から施行されました。 その後、平成24年(2012年)6月に、国においては、障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービス(用語解説4番)の充実等、障がいのある人の日常生活及び社会生活を総合的に支援し、新たな障がい保健福祉施策を講ずるため、「地域社会における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」(以下「整備法」という。)を公布し、「障害者自立支援法」を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下「障害者総合支援法」という。)に改正し、「障害者」の定義に難病等を追加、また、平成25年(2013年)6月には、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(用語解説5番)(以下「障害者差別解消法」という。)が制定され、平成26年(2014年)2月には「障害者の権利に関する条約」を批准、さらには、平成28年(2016年)6月に障害者総合支援法及び児童福祉法の一部改正が行われ、障がいのある人自らが望む地域で暮らすことができるよう生活支援と就労支援の充実や障がいのある子どもへの多様化するニーズに対応するため、同年8月に発達障害者支援法が改正され、発達障がい者支援の一層の充実が図られました。 道では、「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」並びに「北海道障がい者及び障がい児の権利擁護並びに障がい者及び障がい児が暮らしやすい地域づくりの推進に関する条例」(以下「北海道障がい者条例」という。)の趣旨を踏まえ、障がいのある人が自立した日常生活及び社会生活を営むことができるよう、地域において必要な障害福祉サービス等及び障害児通所支援等が計画的に提供されるための実施計画として、「北海道障がい福祉計画」(以下「この計画」という。)を策定することとします。 (2)計画の目的 障がいのある人が、自立した日常生活及び社会生活を営むためには、道内の各地域において、必要な支援を提供できるよう、相談体制やサービス基盤の整備が必要であり、そのためには、共に生活する地域住民の理解や協力による「まちづくり」の視点が必要となります。 この計画は、こうした視点に立ち、障がいのある人を主体とした支援体制づくりを進め、本人が希望する暮らしの実現、意欲や障がい特性に応じた地域活動が保障される社会づくりを推進していくため、「希望するすべての障がい者が安心して地域で暮らせる社会づくり」を基本テーマとして目指すこととします。 令和3年度(2021年度)から5年度(2023年度)までを計画期間とする第6期計画については、地域における生活の維持及び継続の推進、就労定着に向けた支援、地域共生社会の実現に向けた取組、精神障がいにも対応した地域包括ケアシステム(用語解説6番)の構築、障がい者の社会参加を支援する取組、障がい児のサービス提供体制の計画的な構築、発達障がい者支援の一層の充実を目指し、成果目標やサービス見込み量等の確保方策等について定めます。 ○第6期北海道障がい福祉計画 ・根拠:障害者総合支援法第89条第1項  ・概要:障害福祉サービス等及び障害児通所支援事業等の円滑な実施を確保するための基本的な指針[令和2年(2020年)5月19日厚生労働省告示第213号](以下「基本指針」という。)に即して、市町村障害福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から障害福祉サービスの提供体制の確保その他障害者総合支援法に基づく業務の円滑な実施について定める、都道府県障害福祉計画。 ・参考通知:「地域生活支援事業に係る障害福祉計画の作成について」〔平成21年(2009年)1月8日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課自立支援振興室長通知障企自第0108001号〕 ○第5期障がい者就労支援推進計画[北海道働く障がい者応援プラン(用語解説7番)・第X章] ・根拠:北海道障がい者条例第29条第1項 ・概要:障がいのある人の就労支援に関する施策の実施について示す、就労支援推進計画及び都道府県工賃向上計画。 ・参考通知:「工賃向上計画」を推進するための基本的な指針〔平成24年(2012年)4月11日厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知障発0411第4号〕 ○ 第2期北海道障がい児福祉計画 ・根拠:児童福祉法第33条の22 ・概要:基本指針に即して、市町村障害児福祉計画の達成に資するため、各市町村を通ずる広域的な見地から、障害児通所支援等の提供体制の確保その他障害児通所支援等の円滑な実施について定める、都道府県障害児福祉計画。 2 計画の位置付け (1)計画の位置付け この計画は、「北海道総合計画」が示す政策の基本的な方向に沿って策定、推進する特定分野別計画である「北海道地域福祉支援計画」の施策別計画であり、障害者基本法に基づき策定している基本計画(第2期計画期間:平成25〜令和4年度(2013〜2022年度)の実施計画として位置付けることとしています。 なお、社会福祉法その他法律の規定による計画であって障がい者等の福祉に関する事項を定めるものと調和を保つよう整理しています。 また、本計画は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に資するものです。 【持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)】2015年9月に国連サミットで採択された、2030年を期限とする先進国を含む国際社会全体の開発目標であり、17のゴール(目標)と、それぞれの下に、より具体的な169のターゲットがある。全ての関係者(先進国、途上国、民間企業、NGO、有識者等)の役割を重視し、「誰一人取り残さない」社会の実現を目指して、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題に統合的に取り組むもの。 (2)計画の期間 この計画は、計画期間を令和3年度(2021年度)から令和5年度(2023年度)までの3年間(第6期計画)とします。 なお、道はこの計画について、定期的に調査・分析及び評価を行い、必要がある場合は計画を見直すなどの措置を講ずることとします。 3 区域の設定 この計画に定めるサービスの提供体制の確保が、地域間の格差を縮小しながら進められるよう、次のとおり、サービスの種類ごとに、サービス量(支給量及び整備量)を見込み、推進管理等を行う「区域」を設定しています。 (1)居住系サービス(施設入所支援):「全道域」 入所施設については、今後も、地域生活への移行支援を推進する観点から、基本的には創設は行わずに、現在入所されている方について、円滑に地域生活への移行が図られるような体制の整備を進めるとともに、施設入所支援を必要とする障がいのある人の状況を考慮し、全道一圏域で広域的に入所定員の調整を行うこととします。 (2)居住系サービス(共同生活援助)及び日中活動系サービス:「北海道障がい保健福祉圏域の21圏域〔札幌市を含む。〕」(この圏域は、第二次地域福祉圏域と同じ。) グループホームなどの住まいの場や生活介護、就労継続支援などの日中活動の場については、利用者の生活圏域(通所等によりサービス利用が可能な単位)に着目してサービスの基盤整備を進める必要があることから、21の北海道障がい保健福祉圏域単位で必要な調整を行うこととします。 (3)訪問系サービス及び相談支援:「市町村圏域」 居宅介護などの訪問系サービスについては、在宅において提供することを基本とすることから、市町村圏域単位で地域生活への移行の進捗状況などに合わせて必要な調整を行うこととします。 また、相談支援(用語解説8番)については、地域生活への移行や地域定着支援の観点から、最も身近な行政機関である市町村で必要な体制の整備について調整を行うこととします。