約37×34mの規模をもつ鷲ノ木遺跡の環状列石は、これまで道内で知られているものとしては最大で、また1640年の駒ケ岳噴火で厚い火山灰層に覆われたためその後の開発等から守られて保存状態も良好です。
標高70mほどの丘の上が平坦に整地され、中央に長さ4mほどの楕円形に石を並べた「中央配石」があり、そこから15mほど離れて二重に石がめぐらしてあります(「内環」と「外環」)。使われた石は合計約600個で、適当な大きさの石が得られる桂川の河口近くから運んできたと考えられます。
また、環状列石の周囲には「竪穴墓域」と呼ばれる埋葬のための区画がこれまでに2つ発見されており、さらに今回追加指定される見込みの土地からは、縄文時代後期の住居跡や墓と思われるものがみつかっています。
こうした各種の遺構から、環状列石を中心として展開された当時の埋葬や儀式の模様が、今後の研究を通じて明らかになると思われます。
さらに鷲ノ木遺跡は、特別史跡大湯環状列石(鹿角市)や史跡小牧野遺跡(青森市)など東北地方北部の環状列石と、史跡音江環状列石(深川市)や史跡忍路環状列石(小樽市)などに代表される道央地方の環状列石群の間にあって、縄文時代の北日本における文化の交流を証拠だてる遺跡としても、今後重視されるでしょう。
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