技術革新の進展や高齢化の進展など、働く人を取り巻く環境が大きく変わってきており、これに伴って、働く人に求められる職業能力も著しく変わってきています。
こうした時代の変化に対応していくことができるよう、職業生活の全期間を通じて、常に職業能力を高めていくことが必要です。
このため、企業などでは、従業員に対する職業訓練を行っており、また、働く人自らも職業能力を高めるため自己啓発に努めています。
これらの取組みは、企業活動を活発にするとともに、従業員の豊かな職業生活のために大変重要な役割を果たしています。
職業能力開発促進法では、従業員の能力開発の重要性を認識し計画的な能力開発を行う「学習企業」への積極的な援助を定めています。
1 事業主等が行う教育訓練の推進
職業能力開発推進者の選任
企業などでの職業能力開発を積極的に進めていくためには、その中心的な役割を果たす人が必要であることから、職業能力開発促進法において、事業主は「職業能力開発推進者」を選任するよう努めなければならないとされています。
この職業能力開発推進者は、企業などにおける事業内職業能力開発計画を作成し、従業員の教育訓練を円滑に進める役割を担っており、その選任は従業員単位となっていますが、100人以下の事業所の場合は共同で選任することができます。選任したときは、北海道労働局職業対策課雇用開発係に専任届を提出してください。
道内では6,873事業所(2019年3月現在)に職業能力開発推進者が選任されており、職業能力開発推進者に対しては、北海道職業能力開発協会が推進者講習を開催し、情報の提供を行っています。
認定職業訓練
職業能力開発促進法では、事業主が、従業員に対して、職業能力の開発、資質の向上を図るため、必要に応じ職業訓練の実施に努めることが定められています。
これらの職業訓練のうち、法で定める訓練基準に従い知事の認定を受けて実施しているのが認定職業訓練です。認定職業訓練は、民間における職業能力開発の大きな柱となっています。
また、中小企業事業主や中小企業事業主団体が行う認定職業訓練については、各種の助成を受けることができ、認定職業訓練を修了した人にも資格取得のための一部免除など各種の特典があります。
認定職業訓練修了生の特典
- 高度職業訓練の専門課程及び普通職業訓練の普通課程修了時に行われる技能照査に合格すると「技能士補」の資格が与えられます。(技能士補…国家検定の技能検定試験2級の学科試験が免除になります)
- 高度職業訓練の専門課程及び普通職業訓練の普通課程、短期課程修了者には、技能検定や職業訓練指導員試験の一部免除や実務経験年数の短縮の制度があります。
- 訓練職種によっては関係法令に基づく資格取得や受験資格の際に実務経験年数の期間短縮などがあります。
詳細は各認定職業訓練校にお問い合わせください。
認定職業訓練に対する助成制度
中小企業事業主や中小企業事業主団体等が行う認定職業訓練については、1.訓練の実施に要した経費等に対する補助金(事業内職業訓練事業費補助金)の支給、2.中小企業事業主が雇用従業員に訓練を受講させた場合における訓練中の賃金に対する助成金(人材開発支援助成金)の支給により、認定職業訓練の実施を支援しています。
また、認定職業訓練を活用して実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)を行う場合も、人材開発支援助成金の対象となります。
事業内職業訓練運営費補助金
●補助の対象となる事業主
中小企業の事業主又は中小企業事業主団体若しくはその連合団体等
●補助の対象となる経費
認定職業訓練のうち集合して行なう訓練に要する経費
・指導員、講師等の謝金、建物の借上及び教材費等の経費
・その他管理運営に要する経費のうち特に必要と認める経費
●補助額
補助対象経費の2/3(国1/3、道1/3)以内の額
その他の教育訓練に対する助成制度
企業内における労働者のキャリア形成の効果的な促進のため、その雇用する労働者を対象として、目標が明確化された職業訓練の実施、従業員が行う自発的な職業能力開発に対する支援、または職業能力評価の実施を行う事業主に対して助成するものです。
詳細は、厚生労働省北海道労働局へお問い合わせください。
実習併用職業訓練(実践型人材養成システム)
平成18年に職業能力開発促進法の一部が改正され、新卒者の現場力の育成を促進するため、「企業現場におけるOJT(実習)」と「教育訓練機関におけるOFF-JT(座学)」を組み合わせた実践型人材養成システムが法律で位置づけられました。このシステムは、事業主が主体となって、自らの企業における雇用関係の下で行う職業訓練(実習等)と、教育訓練機関等(1.公共職業能力開発施設、2.認定職業訓練校、3.専修学校・各種学校等)が行う教育訓練又は職業訓練(座学等)とを効果的に組み合わせることにより、若者に実践的な職業能力を習得させるものです。
事業主がこの訓練の実施について大臣認定を受けることにより、人材開発支援助成金による助成措置があります。
詳細は、厚生労働省北海道労働局へお問い合わせください。
2 労働者の自発的な能力開発の推進
技術革新の進展、産業構造の変化、就業意識の多様化に伴い、労働者の自発的な能力開発の取組みを支援することが重要となってきています。このため、国においては教育訓練給付金、人材開発支援助成金等を活用した多様な教育訓練機会の提供を行っています。
教育訓練給付金につきましては、お近くのハローワークにお問い合わせください。
3 職業能力開発に関する助言、相談
企業などの民間の職業能力開発を支援するために情報・施設の提供及び指導員の派遣などを行っています。
道立職業能力開発支援センター
- 所在地/札幌市白石区東札幌5条1丁目
- TEL/(011)825-2385
- FAX/(011)825-2390
北海道における労働者の職業に必要な能力の開発及び向上の促進を図り、もって職業の安定と労働者の地位の向上に資するための施設として、次の事業を行っています。
- 職業能力の開発及び向上の促進に関する技術的事項について相談、助言及び指導を行うこと。
- 施設設備を利用に供すること。
- 職業能力の開発及び向上の促進に関する情報及び資料を提供すること。
- その他設置の目的を達成するために必要な事業
北海道職業能力開発協会
- 所在地/札幌市白石区東札幌5条1丁目(道立職業能力開発支援センター内)
- TEL/(011)825-2385
- FAX/(011)825-2390
北海道職業能力開発協会は、民間における職業能力開発の指導的団体として、職業能力開発に関する各種の情報・資料の収集、提供、企業や働く人への助言や指導、認定職業訓練の指導援助、技能検定試験の実施などの業務を行っています。
職業能力開発サービスセンター
- 所在地/札幌市白石区東札幌5条1丁目(道立職業能力開発支援センター内)
- TEL/(011)825-2385
- FAX/(011)825-2391
サービスセンターでは、専門のコンサルタントと相談員が、企業における従業員の職業能力開発プラン作りの助言や指導、職業能力開発に関する各種の資料の提供を行っています。また、事業内職業能力開発計画のプラン作りのアドバイスや情報提供も行っています。
4 その他の能力開発施設
地域職業訓練センター
地域の事業主等により構成する公益法人等が運営している地域職業訓練センターでは、教育訓練を行う中小企業主などに視聴覚教室や実習室、会議室などの施設を提供したり、職業に関する講習や講座などを開催しています。
道内には現在、北見市、釧路市、苫小牧市、滝川市の4か所に設置されています。
(所在地はこちらをご覧ください。)
地域人材開発センター
地域人材開発センターは、IT化の進展や技術・技能の高度化に対応し、産業の発展を支える地域における人材育成の拠点施設で、中小企業の従業員に対する技能向上訓練や道立高等技術専門学院から委託された離転職者の再就職訓練を実施しているほか、地域のニーズに対応した各種講座・講習や職業能力開発に関する相談・情報提供を行っています。
現在は留萌市、遠軽町、岩内町、浦河町、名寄市、富良野市、江差町及び美唄市の8か所に設置されています。(所在地はこちらをご覧ください。)