近年、民間薬の生産量や漢方薬の生産高は年々伸びてきていますが、その背景には国民の健康問題に関する意識の高まりや高齢化社会への急速な接近、東洋医学の見直しによる機運の高まりによるところにきています。
北海道においても様々な薬用作物が栽培されていますが、そのほとんどが製薬会社等との契約栽培で行われており、センキュウ(千穹)、トウキ(当帰)、ダイオウ(大黄)、シャクヤク(芍薬)、ジオウ(地黄)、セネガ、トリカブト、カノコソウ、オウギ、薬用人参などが栽培されています。
北海道薬用作物導入の手引き
国内外で健康志向が高まり、漢方薬等に使用される生薬の需要が高まる中で、主要輸出国である中国産の輸入価格が上昇し、より安定的な価格の生薬が求められていることから、薬用作物の国内、特に北方系の薬用作物の栽培適地であり薬用作物の大規模栽培による省力・低コスト生産の可能性が高い北海道での生産拡大が期待されています。
また、道内産地において既に多様な薬用作物が栽培されていますが、所得の確保につながる新たな作物としても関心が高まっています。
このため、道では平成26年度に、学識経験者や生産者団体、製薬企業等実需者団体や試験研究機関等の関係機関・団体などを構成メンバーとする「北海道薬用作物生産拡大検討会」を設置し、道内の薬用作物に関する現状やこれまでの取組についての情報を共有するとともに、薬用作物生産拡大に向けた諸課題を見当し、これから薬用作物の産地化を目指す生産者やそれを支援する関係機関の担当者向けの資料として「北海道薬用作物導入の手引き」を、平成28年3月に発行しました。
北海道薬用作物生産モデル事例集
道において、平成28年度(2016年度)~平成30年度(2018年度)に「薬用作物地域生産モデル構築支援事業」として実施した3地区の栽培状況等を取りまとめ、道内における薬用作物の産地育成に活用するため「北海道薬用作物生産モデル事例集」を平成31年(2019年)3月に作成しました。