先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング)
生まれてきた赤ちゃんは、知らずに放置すると、やがて障がいが発生する可能性のある、生まれつきの病気(先天性代謝異常等)をもっていることがあります。
これらの病気は、早期に発見し治療することで、発症を防いだり、重い症状がでないように注意して日常生活を送ったりすることができます。
北海道では、一般財団法人北海道薬剤師会公衆衛生検査センターに委託し、札幌市以外の産院等で産まれた赤ちゃんを対象に、血液を調べ、これらの病気を見つける「先天性代謝異常等検査(新生児マス・スクリーニング)」を行っています。
検査の申し込みは、出産後に出産した産院等で行うこととなりますので、出産前に準備する必要はありません。
詳しくは下記パンフレット(PDF)をご覧下さい。
新生児聴覚検査
赤ちゃんの聴覚に異常がないかを早期に発見するための検査です。
生まれつき、両側の耳の聞こえに異常があるお子さんは、1,000人に1~2人と言われています。
この検査により、聴覚の異常を早期に発見し適切な治療を行うことで、言葉の発達への大きな効果が期待できます。
聞こえの障がいは目に見えず発見が遅れがちですが、早期に発見するためのも、新生児聴覚検査を受けることをお勧めします。
◆リーフレット(新生児聴覚検査のご案内) (PDF 154KB)
※お住まいの市町村によっては、新生児聴覚検査費用の一部又は全額を公費負担しています。
◆別表1_委託医療機関及び検査金額一覧(R60501) (PDF 221KB)
◆別表2_参加市町村一覧(R60401) (PDF 706KB)
Q&A
新生児聴覚検査はどのような検査ですか?
出産した医療機関において、出生後2日~退院前に行われます。
赤ちゃんが眠っている間にヘッドホンのような機械を当てて、その反応を記録する方法で、5分程度で実施でき、痛みはまったくありません。
検査結果は、「パス」「リファー(要再検査)」のいずれかで、入院中にお知らせします。
検査を受けた方がよいですか?
耳の聞こえに障がいがあるかどうかは、外見ではわかりにくく、赤ちゃんの様子だけからは判断することが困難です。
そのため、早期に障がいを発見するために、検査を受けることをお勧めします。
検査には健康保険が適用されますか?
新生児聴覚検査は健康保険が適用されないので、自費診療となります。
費用は検査機器によって3,000円~8,000円程度が中心ですが、詳しくは医療機関にお問い合わせください。
また、市町村において、検査費用の一部又は全額を公費負担しています。
(※公費負担未実施町:幕別町)
検査の結果が「パス」だったときは?
現時点では、聞こえに問題はありませんが、今後の成長過程で、中耳炎やおたふく風邪などで、後になって難聴が生じる場合もありますから、退院後も1歳6ヶ月検診、3歳児検診などで耳の聞こえはどうか、言葉の増え方は順調かなどの確認をしていくことが大切です。
心配なときは、市町村保健センターにご相談ください。
検査の結果が「リファー(要再検査)」だったときは?
「リファー(要再検査)」であった場合でも、必ず耳の聞こえが悪いとは限りません。
生まれたばかりの赤ちゃんは、耳の中に液体が残っていたり、脳の発達がまだ十分でなかったりするため、新生児期の聴覚検査にパスしないことがありますが、専門の耳鼻咽喉科(精密検査実施医療機関等)でさらに詳しい聴力検査をうけていただくことが必要です。
また、新生児難聴の主な原因のひとつに、「先天性サイトメガロウイルス感染」があります。抗ウイルス薬治療により、難聴の改善や進行の抑制などの効果が期待できるため、早期診断が大切です。診断するための検査は、生後21日以内の赤ちゃんの尿を用いて行うため、確認検査でリファーだった場合は、精密検査を待たず、なるべく早く実施することが推奨されています。
◆【R0411修正】北海道内の精密検査実施医療機関 (PDF 152KB)
※参考 保護者の皆様へ「先天性サイトメガロウイルス感染の検査を受けましょう」 (PDF 1.43MB)
※参考 日本産婦人科医会:小冊子「新生児聴覚検査で『要精密検査』を伝えられたご家族や保護者の方々へ」
胆道閉鎖症スクリーニング検査
胆道閉鎖症とは、生まれつき又は生後まもなく肝臓と腸をつなぐ胆管がつまり、肝臓で作られた胆汁が腸に流れなくなる病気です。
これを放置すると、胆汁が肝臓にたまってその組織を壊し、肝硬変を引き起こします。
症状としては、いくつかの症状が現れてきますが、「便が白っぽくなる」症状が見分けやすく、高い確率で発見することができます。
治療としては、生後60日以内に胆汁が腸に流れるようにするための手術を行うことで、良好な結果が得られます。
この病気は、出生の直前、あるいは出生直後に発症すると考えられていますが、原因は不明です。
発症頻度は、赤ちゃん1万人に一人程度です。
スクリーニング検査について
保護者の方が、母子手帳に綴じ込まれている便色カードを使って、赤ちゃんの便の色をチェックします。
精密検査について
精密検査が必要な場合は、医療機関、市町村、保健所が連携して、お子様と保護者の皆さんをフォローアップしていきます。
医療機関から「市町村への連絡票」を受け取り、市町村の母子保健担当に提出してください。
個人情報の保護について
精密検査が必要となった場合、お子様及び保護者の氏名、住所、連絡先、検査結果等について、市町村に提供していただくことになりますが、ここで知り得た情報は、この疾病に関するお子様と保護者への保健指導や統計資料作成のために使用し、他の目的では一切使用しません。
乳児股関節脱臼検診
乳児股関節脱臼は、3~4か月で脱臼をスクリーニングし、診断治療を開始すれば、多くは問題なく治るとされていることから、予防と早期発見・早期治療が重要です。
股関節脱臼の心配がある時は、市町村保健センターに御相談の上、整形外科を受診してください。
◆二次検診可能医療機関リスト〔2020年2月1日現在〕(日本小児整形外科学会検診委員会北海道ブロック提供)
HTLV-1抗体検査
HTLV-1は、ATL(成人T細胞白血病)やHAM(HTLV-1関連脊髄症)といった疾病を発症する原因となるウイルスです。
北海道では、妊婦の約1000人に1人がHTLV-1ウイルスを持っていると推測されています。
このウイルスは、母乳をとおして赤ちゃんに感染する可能性があり、授乳方法を工夫することで感染する可能性を低くすることができます。
HTLV-1に感染すると、ALTについては、感染から40年以上経過した後に、ごく一部の人に発症すると言われています。(※年間感染者1000人に1人の割合)
妊婦健診でHTLV-1抗体検査が陽性(判定保留)となった場合でも、本当に感染しているか分からないので、必ず精密検査を受けましょう。
北海道HTLV-1母子感染対策協議会
北海道では、HTLV-1母子感染対策の体制整備を図るため、母子保健医療対策総合支援事業実施要綱に基づき、「北海道HTLV-1母子感染対策協議会」を設置し、感染予防対策や相談支援、普及啓発などの取組について協議しています。
◆北海道HTLV-1母子感染対策協議会委員名簿 (PDF 610KB)
HTLV-1母子感染予防対策に関する情報
◆厚生労働省/HTLV-1情報ポータルサイト(運営:HTLV-1研究班合同委員会)