国において「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」が告示されました。
1.策定の経緯
「動物の愛護及び管理に関する法律」(以下「法律」という。)第5条において、動物の適正な飼養及び管理を確保するため動物の所有者又は占有者の責務を定め、さらに、環境大臣は動物の飼養保管に関し所有者等がよるべき基準を定めることができるとされています。
国では、同条に基づいて、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」(昭和50年7月16日告示)を定めています。
近年、少子高齢化等社会状況の変化を反映し、上記基準の根拠となる法律が平成11年に改正、平成12年12月に施行され、これに伴って、上記基準については、見直しを行う必要が生じていました。
このようなことから、国では、上記基準についての見直しの検討を進め、平成14年3月22日に中央環境審議会の答申を得、この答申を基に、平成14年5月28日、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」を決定、告示を行いました。
また、これに伴って、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準」の廃止を同日付けで行いました。
<国における本基準の策定の経緯>
- 平成12年12月 1日 改正動物愛護管理法施行
- 平成13年 3月19日 中環審動物愛護部会(第1回)
「犬・ねこの飼養及び保管に関する基準」の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管基準の検討策定について、着手することを了承
- 平成13年12月14日 中環審動物愛護部会(第2回)
「犬・ねこの飼養及び保管に関する基準」の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管基準の見直しについて(諮問)
基準見直しに当たっての基本方針(案)について(了承)
- 平成14年 2月12日 中環審動物愛護部会(第3回)
飼養保管基準(「家庭動物等の飼養保管基準」)の素案の検討
- 平成14年 3月22日 中環審動物愛護部会(第4回)
飼養保管基準の見直しについて(答申)
2.策定された基準の内容
告示日等
平成14年5月28日 環境省告示第37号
主旨
愛がん動物又は伴侶動物(コンパニオンアニマル)として家庭等で飼養保管されている動物並びに情操の涵養及び生態観察のため学校、福祉施設等において飼養保管されている動物を対象として、その家庭動物等を飼養・保管する者にその適正な飼養・保管の指針を示し、家庭動物等の健康・安全を保持し、また、家庭動物等による危害等の防止を図る。
ポイント
1.ペット動物の多様化へ対応するため、従来の犬・猫中心の基準から、家庭で飼養される動物(哺乳類、鳥類、爬虫類)を対象とした基準としたこと。
2.人と動物の共生社会の実現のため、飼養者の基本的責務を重視したこと。
- 飼養開始前の知識の修得と、終生飼養を前提とする将来にわたる飼養可能性の判断
- 所有者を明示する措置の推進
- 繁殖制限措置の徹底
- 猫の室内飼養の推進
- 学校、福祉施設等における適切な飼養の確保
3.生物多様性保全等、新たな社会的要請への対応を盛り込んだこと。
- 動物の逸走、放し飼い等による野生生物の圧迫等の防止を飼養者の責務として明記