令和4年度(2022年度)北海道若年優秀技能者知事賞
令和4年度(2022年度)北海道若年優秀技能者知事賞は、次の14名の方々が受賞されました。
氏名 | 職名・勤務先 | 受賞理由 |
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平塚 正樹 (28歳) |
大工 加藤建設(株) |
札幌高等技術専門校修了後の平成26年、加藤建設(株)に入社。1年目で二級建築大工技能士を取得後、平成30年には最難関と言われる一級建築大工技能士の試験を一回で合格。その翌年には二級建築施工管理技士も取得するなど専門校や所属する事業所の理念である「多能工」としての活躍に周囲からの評価も高い。 時間を惜しまず努力する姿は他の若手技能者の模範であり、後輩の育成にも成果をあげている。 業務改善においては、伝統技能を継承しつつ梁や筋交いなどの継手部分に補強金物を積極的に採用したことで作業時間の短縮及び製品強度の向上につながった。 産業や社会への貢献としては、札幌高等技術専門校の修了生と会員企業の若年技能者を中心に構成される札幌市建築業組合「技術技能士会」の会員として、技能振興イベントに毎年参加し、木製椅子などの製作体験を通じてものづくりの楽しさや技能の素晴らしさを伝えている。 |
佐々木 勇人 (25歳) |
大工 (株)土屋ホーム |
平成27年に入社し、大工として技能の研鑽に努め、平成31年に一級建築大工技能士を取得。持ち前の粘り強さでますます向上していくものと感じられる。 また、自身の技術の向上のみならず、後輩への指導も力を入れており、現場では、高い評価を得ている。 チームリーダーとして1日2回の現場清掃を実施しており、安全作業・工期短縮に寄与している。 現場の清掃や整理整頓、ゴミの分別等職場環境にも気を配り、SDG'sや作業の生産性向上にも貢献している。 |
中村 慎之輔 (27歳) |
塗装工 北海道技建(株) |
平成26年に技術職員として入社し、主に区画線塗装工事における国道のラインマーカー車のオペレーターとして従事しており、たゆみない努力により2種類の路面標示施工技能士の資格を取得。業務では、出来形を満足する施工を行うのみならず、区画線の品質や施工機械の知識も有しているため、機械トラブルにも迅速かつ的確な処置を行うなど、臨機応変に対応できる優秀な技能者である。 また、一般的には10年以上の経験が必要と言われているラインマーカー車の運転を入社7年目から行い、市町村道の中心線、外側線等の区画線施工にも活躍している。 若年ながら現場代理人兼主任技術者として融雪期の難しい気象条件下での作業も、万全な施工管理を行い、無事故・無災害で竣工している。 さらに、2020東京オリンピック・パラリンピックのマラソン競技で使用するガイドラインに国内初の「RENU WB工法」が採用された際、そのテスト施工で被推薦者の正確な施工能力が認められ、オリンピック・パラリンピックのマラソン大会本番で塗装・除去作業を完遂し、大会の成功を陰で支えた。 冬季には、地元の小学校の雪割作業に重機オペレーターとして従事し、小中学校で実施されている職業体験等のボランティアにも積極的に参加している。 |
只野 祥弥 (29歳) |
鉄道車両組立工・修理工 札幌交通機械(株) |
平成24年の入社以来、一貫して電気部品検修に従事。鉄道車両の整備・新製に要求される国家技能検定部門において、平成28年に一級鉄道車両製造・整備技能士(電気ぎ装作業)を取得後、平成30年には一級電気機器組立て技能士(配電盤・制御盤組立て作業)も取得。 また、自己研鑽に努め、第二級陸上特殊無線技士、玉掛け技能、クレーン運転等、各種資格も積極的に取得しており、優秀な技術者として他技能者の模範となっている。 変速機や客室空調などを制御するPLC制御盤がメーカー生産中止となったため、道内の安全安定輸送を確保するという強い意志のもと、新規設計・製作に携わり、品質の向上に貢献した。また、各種業務改善提案、環境整備、5S推進にも積極的に取り組んでいる。 鉄道車両電気部品検修に際し、高い技術を駆使して、品質の良い、また、故障のない車両電気部品をJR北海道に提供し、道民の公共交通機関である、鉄道輸送の安全安定輸送に大きく貢献した。 |
中山 理公 (27歳) |
建具工 (有)髙橋加工部 |
平成28年の入社後、建具工として木製建具・製作家具の製造・取付の業務に従事。令和元年には一級建具製作技能士、令和3年には一級家具製作技能士を取得。また、平成30年に職長・安全衛生責任者、令和4年に木材加工用機械作業責任者を取得するなど、建具工として技術の研鑽に努めている。 平成30年技能五輪全国大会に出場し、敢闘賞を受賞。他の若年技能者の技能レベル向上にも貢献している。 また、組合主催の技能講習・向上訓練などの指導等に率先して参加し、たゆまぬ努力と研鑽を重ねる姿は、後進技能者や他の若年建具工のお手本にもなっている。 作業方法の改善においては、現場内作業における安全確保、品質保全、熱中症対策等に関しミーティングを実施。取付速度の改善においては、現場での建具・家具の加工・取付がスムーズに行えるよう、予め想定される作業に対し、有効な治具を製作し作業効率の向上に努めている。 産業等への貢献においては、上士幌生涯学習センターわっか建設工事における建具の取付作業や中札内村役場議場ホールの壁面木製ルーバーの取付作業に従事し現場の完成に寄与した。 |
伊藤 一樹 (29歳) |
建具工 (有)髙橋加工部 |
平成26年の入社以来、建具工として木製建具・製作家具の製造・取付の業務に従事。平成29年に一級家具製作技能士、令和元年には一級建具製作技能士を取得。また、平成27年に職長・安全衛生責任者、令和4年に木材加工用機械作業責任者を取得するなど、建具工として技術の研鑽に努めている。 技能・技術の研鑽に励み、第51回及び第53回技能五輪全国大会では銅賞を受賞。 また、若年ながら卓越した技能は、業界の技能講習補助員としても活躍しており、平成27年には十勝地方技能尊重運動推進協議会の青年優秀技能者表彰を受賞するなど、若年技能者の模範としても認められている。 取付速度の改善においては、現場での建具・家具の加工・取付がスムーズに行えるよう予め想定される作業に対し、有効な治具を製作し作業効率の向上に努めている。 産業等への貢献においては、さっぽろ創世スクエア建設工事における札幌文化芸術劇場ホール内壁面の合板の練付作業や、芽室町新役場庁舎建設工事における内部家具の製作・取付の作業、幕別町新庁舎建設工事における議場内の木製ルーバー取付に従事し、現場の完成に寄与した。 |
津川 敏輝 (26歳) |
築炉工 大和工業(株) |
平成27年の入社以来、築炉工として工業炉の耐火物築造作業に従事。令和3年に一級築炉技能士資格を取得するなど、耐火煉瓦積みの技能については、築炉業界でも卓越した技能を有する貴重な人材である。 若年層のリーダーとして、新人や後輩の指導を率先して行い、同世代築炉工の技能レベル底上げの役割を上司とともに担っている。 作業改善においては、従前から行っている自社の築炉作業方法に自分の経験を活かし、積極的に行っている。 地元のイベント等にも積極的に参加し、若手の代表として労働組合の役員に就き活躍の場を広げている。 |
三船 友貴人 (29歳) |
金属材料製造検査工 日鉄テクノロジー(株) |
平成24年の入社以降、日本製鉄(株)北日本製鉄所の鋼材製品の成分分析業務に従事。化学分析作業全体に精通するとともに優れた技能を有し、現在は職場の副班長として活躍している。 令和元年取得の一級化学分析技能士をはじめ、第一種衛生管理者、公害防止管理者(水質四種)等、多数の国家資格を取得。高い技術技能と安全衛生面での知識を併せ持ち、安全な業務管理を行いながら、確かな試験データを提供している。 業務改善においては、「特殊鋼Al,Mo同時分析開発」でチームリーダーとして製鉄所の品質管理に関わる金属成分の高精度、高効率な分析方法を確立するなど、数多くの改善活動を実行している。 豊富な業務経験や改善活動での経験を活かし、指導者としても若手育成に熱意を注ぎ、化学分析作業における技術技能伝承の懸け橋となるとともに、品質保証力の担保になりつつある。 |
谷藤 昇太 (29歳) |
金属材料製造検査工 日鉄テクノロジー(株) |
平成24年の入社以降、日本製鉄(株)北日本製鉄所の原料鉱物の検査業務、また、環境管理の検査業務に従事。化学分析作業全体に精通するとともに優れた技能を有し、現在は職場の副班長として活躍している。 令和元年取得の一級化学分析技能士をはじめ、第一種衛生管理者、作業環境測定士第一種等、多数の国家資格を取得。高い技術技能と安全衛生面での知識を併せ持ち、安全な業務管理を行いながら、確かな試験データを提供している。 業務改善においては、「スラグ試験工期短縮による貯蔵管理省力化」を含めた「スラグ環境安全品質試験体制の整備・強化」でチームリーダーとして貯蔵品の物流管理省力化や品質を重視した体制の再構築など、従来の固定観念にとらわれないアイデアの提案にて実行している。 豊富な業務経験や改善活動での経験を活かし、指導者としても若手育成に熱意を注ぎ、化学分析作業における技術技能伝承の懸け橋となるとともに、品質保証力の担保になりつつある。 |
福士 賢哉 (27歳) |
型枠工 城成建設(株) |
平成26年に城成建設(株)に入社すると同時に、専門知識・技能習得のため釧路高等技術専門校の鉄筋コンクリート施工科に入校。2年間の訓練を修了後、二級型枠施工技能士の資格を取得。また、令和3年には一級型枠施工技能士も取得した。 常に技能向上に努め、特に階段型枠の技能については非常に優れており、勤務成績も優秀なことから会社並びに同僚の信頼も厚く、令和2年に釧路市優良勤労青少年表彰、令和4年に釧路地方技能士会優良青年技能士表彰を受賞するなど、他の若手技能者の手本となる存在である。 社内では若手のリーダー的立場で、現場や自社の認定職業訓練生の訓練等において、後進の指導にもあたっている。 作業効率の改善においては、建築物の施工にあたり、常に効率を追求しながら資源の再利用の推進に努めている。 数多くの現場で施工にあたり、釧路市の住宅を皮切りに会社及び業界発展に貢献している。 |
髙田 透 (30歳) |
その他の輸送用機械組立・修理 トヨタ自動車北海道(株) |
平成23年の入社以来、一貫して自動車部品の生産設備の保全業務に従事し、現在は二人一組で作業を行う際の作業指揮者として活躍しており、令和4年に一級機械保全技能士を取得。 特に、設備修理に対して、作業時間短縮のために、どの手順が最適だったかを振り返り手順書を作成するなど、知識・技能を目に見える形で残し、同僚や後輩に伝えている。 知識・技能向上に対する努力(自己研鑽)・チャレンジ精神が顕著な人材であり、令和4年に取得した一級機械保全技能士の取得にあたっては、毎日2時間の試験勉強を行うとともに、職場では実技試験を意識しながら作業を行うなど、その取り組み姿勢は他の模範となっている。 業務改善においては、不良の撲滅にリーダーとして取り組み、現状把握から再発防止まで妥協することなく徹底的に現地現物で調査を実施。原因を突き止め改善するとともに、チームをまとめ、他の職場と連携をとり短期間で成果をあげた。 設備メーカーと人脈を形成し、不具合に対して改善策やメンテナンス性向上提案などを行っている。また、設備メーカーと共に修理を行うことで、さらに良い設備にするためにどのようにすべきかフィードバックすることで産業全体の技術力、保全能力向上に貢献している。 |
小野 春菜 (26歳) |
酒類製造工 曲イ田中酒造(株) |
平成27年の入社以来、酒類製造工として日本酒、焼酎、その他の醸造酒、リキュールの製造業務に従事し、たゆみない努力により令和4年に一級酒造技能士を取得。さらに高度な酒造技能を習得するため(一社)南部杜氏協会「特科試験」の資格取得を目指している。 地域の特産品開発では、製品企画・醸造を担当し、米生産者やJA、農業改良普及センターなどと協力して、製品の品質向上及び酒米の品質向上に寄与している。また、新製品開発にあたってはこれまで酒類の原料に使用されていなかった道産の農産物を積極的に使用し、様々な焼酎、リキュール、その他の醸造酒等の開発に寄与している。 特に、日本酒製造の技能については、道内若手技能者の中での第一人者と言われている。 社内はもとより、業界の若手リーダーとして、これまでの酒類の開発実績などを基に、後進の指導にも積極的に取り組んでいる。 |
能登 宏太 (29歳) |
鉄道車両組立工・修理工 北海道旅客鉄道(株) |
平成23年に北海道旅客鉄道(株)に入社。社員研修センターで基礎教育後に、苗穂工場を経て同社函館新幹線総合車両所に配属、終始鉄道車両の検査(点検・整備)業務に従事している。 自身の技能レベルの向上については、平成30年~令和4年に一級鉄道車両製造・整備技能士(走行装置整備作業、電気ぎ装作業、配管ぎ装作業)を取得。さらに、後輩社員への技能検定受検の指導にも尽力しており、実技課題用の練習台や作業要領書を作成している。その結果、技能検定受検者が増加し、所内全体の技術力向上に貢献している。 新幹線車両の台車検修リーダーとして、班員が苦手とする検修作業において、模擬練習台を製作のうえ指導を行い、苦手作業の克服と作業時間の短縮、作業品質の向上を実現した。また、習熟度の基準を制定し、客観的な評価を基に教育担当者が指導内容を定められるようになり、多能工化や若手社員育成による業務平準化、教育計画立案の容易化を達成させた。 |
木村 尚樹 (29歳) |
鉄道車両組立工・修理工 北海道旅客鉄道(株) |
平成24年に北海道旅客鉄道(株)に入社。社員研修センターで基礎教育後に、釧路運輸車両所に車両係として着任し、終始鉄道車両の検査修繕に従事している。 入社以来、気動車の主たる構成要素である機関の検査・修繕に携わるとともに、乗り心地に直接影響を与える極めて重要な、台車・輪軸検修に関して高い技術を習得するため取り組んできた。たゆまぬ努力で自身の技能レベルを向上させ、令和元~3年に一級鉄道車両製造・整備技能士(走行装置整備作業、電気ぎ装作業、配管ぎ装作業)を取得。 また、平成28年度にはこれまでベテラン社員の技能を必要としていた調整作業を、経験の少ない若手社員でも短時間で同等の状態に調整することを可能とする治具を考案、設計、製作し社内の優良提案にて銀賞を受賞。 さらに、自身の技術を継承していくため、作業手順書の整備を担い、後進技能者の指導にも尽力している。 令和3年度から実施しているSL観光列車のリニューアル改造において電力発生装置の制御改造の中核を担い、お客様に道内唯一のSL観光列車の旅を提供し、鉄道を通して地域に貢献した。 |