地域と共生した再生可能エネルギー事業の推進

再生可能エネルギー発電事業を検討・実施されている事業者の皆様へ

近年、再生可能エネルギー発電設備の設置・発電事業において、事業者と地域住民との間で環境保全などに関する課題が生じています。
本道の豊かな自然環境は、道民の皆様のいのちや暮らしを支える基盤であり、この恵みを将来にわたり引き継いでいくことが重要です。再エネ事業の導入に当たっては、地域の皆様のご理解のもと、環境に十分配慮し取組を推進していきます。

事業計画策定ガイドラインの遵守を

再生可能エネルギー発電事業者の皆様には、関係法令及び国が定める事業計画策定ガイドラインを遵守し、地域の皆様と十分なコミュニケーションを図りながら、事業を実施していただきますようお願いします。

発電事業の実施

発電事業の実施には、電気事業法に基づき、経済産業省産業保安監督部への届出が必要です。

太陽光発電事業について

国が策定した「事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)」は、「企画立案」「設計・施工」「運用・管理」「撤去及び処分」の段階別に記載されています。事業者が遵守事項に違反した場合には、国は、指導・助言、改善命令、認定の取消し等の措置を講じる場合があります。

ガイドラインのポイント

■法令・条例での必要な措置や手続等について自治体や国に確認・相談の上、遵守すること
■計画の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図り、事業実施に努めること
■関係法令に基づく許可等が必要な場合は、事業計画の認定申請前に当該許可等を取得していること
■防災、環境保全、景観保全を考慮し、計画、設計、施工を行うよう努めること
■再エネ発電設備の解体費用に充てるための金銭を解体等積立金として積み立てること など

関係法令等の確認、遵守

関係法令及び条例等については、事業用地を管轄するすべての自治体に早めの相談、確認をお願いします。また、国の事業計画の認定には「関係法令手続状況報告書」の提出が必要です。

再エネ特措法に基づく事業計画の認定と、関係法令及び条例の許認可等は異なる観点から行われます(事業計画の認定は、他法令における許認可等を担保するものではありません)。
関係法令及び条例の許認可の手続等の中で、計画の実現が困難になる可能性や、発電設備の設置場所や出力などが変更となる可能性があることに留意願います。

道などの役割

土地関係の主な法令、手続き

環境影響評価

一定規模の太陽光発電施設の設置は、環境影響評価法や北海道環境影響評価条例の対象事業となります。
なお、法や条例等に基づく環境アセスメント手続が必要な場合、事業計画の認定の申請を行う前に、環境影響評価方法書又はこれに相当する図書(環境影響評価の方法について検討した内容を記載する書類)に関する手続を開始しなければなりません。〔再エネ特措法施行規則 第5条の2第3号、第4号〕

道アセス条例(太陽電池発電所)
第1種事業第2種事業
規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがあり、必ず環境アセスメントを行う環境アセスメントを行うかどうかを個別に判定
出力 4万kw以上出力 2万kW以上4万kW未満

参考情報

発電所に関する環境アセスメントは、一般的な手続を環境影響評価法で、発電所固有の手続を電気事業法でそれぞれ定めています。

法令等の対象外施設の場合の配慮事項

景観への配慮

太陽電池や風力の発電設備など大規模な施設整備は景観上の影響が広域的に及ぶことが予想され、周辺景観への配慮が必要です。道ではガイドラインを策定し、北海道の景観特性を踏まえた良好な景観形成に向けて配慮すべき点を示しています。

景観計画区域内での「行為の届出書」を道に提出する際、主な配慮事項を定めたチェックリスト(風力、太陽光)を参考資料として添付することが必要です。
(風力発電設備は、高さ15m以上。太陽光発電設備は、高さ5m以上 または 面積2,000㎡以上の場合が対象です。)

現在、北海道景観審議会において、再生エネルギー発電施設と道の景観施策とのあり方について審議されています。

自然環境の保全

国と道は、良好な自然環境を形成し保全を図る必要がある地域を自然環境保全地域等に指定しています。

  • 自然環境保全地域と道自然環境保全地域は、特別地区と普通地区に分かれています。
  • 当該地域における自然環境の特質に即して特に保全を図るべき地区を特別地区に指定しています。特別地区内で工作物の設置や土石の採取などの行為をしようとするときは、自然環境保全地域では環境大臣、道自然環境保全地域では知事の許可が必要です。
  • 普通地区(特別地区以外の地区) において、一定規模を超える工作物の設置や土石の採取などの行為をしようとするときは、自然環境保全地域では環境大臣、道自然環境保全地域では知事に届出をする必要があります。

林地開発

太陽光発電設備の設置に際し、開発面積が0.5ヘクタールを超える場合は、知事の許可が必要です。

地すべり防止区域・ぼた山崩壊防止区域内で切り土や立木竹の伐採などの行為を行う場合は、知事の承認・許可を得ることが必要です。

保安林を伐採するときには知事の許可が必要です。また、伐採跡地への植栽の義務が生じる場合があります。

希少な野生動植物の生息への配慮

希少な野生動植物の個体及び生息・生育に配慮されるようお願いします。

太陽電池設備に関する技術基準

斜面に設置されたパネルの崩落等を受け、国は太陽電池設備に特化した技術基準を定めています。

台風等による飛散防止

台風や強風などによる太陽光パネル等の飛散や、住宅や車両を損壊する被害が発生しています。こうした被害を防止するため、設置者は保守点検に万全の対策をお願いします。

騒音・反射光の防止

発電施設の設置工事に際し、騒音被害が発生した場合は、国のガイドラインにより、住民への説明や対策の実施について事業者に協力を要請する場合があります。騒音や太陽光パネルの反射光は、設置後に遮音・遮光壁の設置等の要請が行われることがあります。

パネルの放置防止

太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされ、事業終了後はパネルの適切な撤去・処分が必要です。
買取価格による売電収入には廃棄費用等が含まれ、廃棄費用の外部積立制度が導入されています。

その他

トラブルの防止

事業地の管理において、防災や設備安全、環境保全、景観保全などに関する対策が、計画どおり適切に実施されているかを随時確認してください。 また、防災、環境保全、景観保全の観点から計画策定段階で予期しなかった問題が生じた場合は、適切な対策を講じるようお願いします。

トラブル等発生時の対応

太陽光発電事業でトラブル等が発生した場合、国のガイドラインに基づき適切な対応を事業者に求めたり、国の「不適正情報提供フォーム」を利用した情報提供が行われる場合があります。

自治体の取組

太陽光発電設備の設置について、届出、協議、許可、禁止等の手続や立地規制を課す条例を制定した道内の市町村は下表のとおりです。条例では、規制対象(地域、施設、規模)、義務(届出、基準遵守)、担保措置(命令、罰則)などが定められています。

規制条例以外の取組

自治体では、再エネ規制条例以外に、次のような措置を講じる場合があります。
事業者は、自治体が策定する指導要綱やガイドライン等の遵守に努めてください。
■環境保全・緑地保全に関する協定による対応
■景観条例による対応
■土地開発関係条例による対応
■ガイドラインによる対応 など

自治体の対応例

許認可窓口、事業計画策定ガイドライン(各電源種)

図6 (JPG 515KB)

今後に向けた検討

国では、関係許認可の取得をFIT申請の要件(=森林法、宅地造成及び特定盛土等規制法、砂防三法の許可等の書類提出義務化)としました(R5.10 事業計画策定ガイドラインに反映)。

<他の要件化に関する検討状況>
・地域住民への説明会、事前周知措置の要件化(電源規模、電源の設置場所・設置形態、説明会の内容、具体的な説明事項、説明会の議事等)
・使用済み太陽光パネルの安全処理や再利用促進のため、パネル含有物質の情報や型式の登録の要件化 など

また、環境アセスメントのあり方などについても検討が行われています。 

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ゼロカーボン推進局ゼロカーボン産業課のカテゴリ

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