解雇とは

 解雇とは、使用者の一方的な意思表示により労働契約を解約し雇用関係が終了することです。労働者の生活に重大な打撃を与えることから、解雇は使用者が自由にできるものではなく、法律や判例によって様々な形で制限や判断基準が示されています。

1 解雇予告や一定期間中の解雇の制限について

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「社長に突然解雇を言い渡された!どうしたらいいの!?」

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「ちょっと待ってください!その解雇は本当に有効でしょうか?」

 次の法律では、一定の期間中の解雇が制限されることが定められています。

【労働基準法第20条(解雇予告)】
 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くともその30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

※ただし、解雇の予告の日数は、1日について平均賃金を支払うと日数を短縮することができます。

【労働基準法第19条(解雇制限)】
 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後の30日間並びに、産前産後の女性が第65条(※1)の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。
 ただし、使用者が、第八十一条の規定によって打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合においては、この限りでない。(※2)

※1産前産後休業:産前6週間、産後8週間の期間
※2業務上負傷または疾病にかかり使用者の費用において補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷または疾病が治らず、使用者が平均賃金の1,200日分の打切補償を支払う場合

2 解雇理由による制限について

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「じゃあ、解雇を制限されている期間以外で1か月の平均賃金を支払っちゃえばどんな理由でも解雇できるってこと・・・!?」

それでは、次に”解雇の理由”による制限を見てみましょう。
不当な理由での解雇は、労働基準法だけではなく様々な法令で禁止されています。

差別的な解雇の禁止

  • 国籍・信条・社会的身分を理由とした解雇(労働基準法第3条)
  • 組合に所属していることなどによる解雇(労働組合法第7条)
  • 性別を理由とした解雇(男女雇用機会均等法6条)

法律上の権利を行使したことによる解雇

  • 育児・介護休業の申し出、取得を理由とする解雇(育児介護休業法第10条、16条など)
  • 労働基準監督署に法違反を申告したことを理由とする解雇(労働基準法第104条2項)
  • パワーハラスメントについて、事業主(会社)に相談したことを理由とする解雇(労働施策総合推進法30条の2 第2項)

など

 また、上記の法令違反以外の解雇理由についても、下記の労働基準法16条に該当するような解雇はその解雇自体が無効であり、引き続きその職場で働く権利を有するとされています。

【労働契約法第16条(解雇)】
 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

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「客観的に合理的な理由って何?分かりにくいよ!」

 解雇の合理的理由は、大きく分けて以下の3つの類型があります。

1 労働者の労働能力や適格性の低下・喪失
 労働契約の継続を困難とするほどの重大な能力低下があり、使用者側が改善策を講じても改善の見込みがない場合

2 労働者の義務違反や規律違反行為
 企業秩序を乱す、あるいは就業規則に定められた懲戒解雇に相当するような行為を行った場合

3 経営上の必要性
 使用者が、残業の削減、新規採用の手控え等解雇を回避する努力を行ったが、経営難で人員削減もやむを得ない場合

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「合理的な理由のほか、世間一般の常識として社会通念上ふさわしいと捉えられること(社会的相当性)が認められなければ解雇は無効になります。」

3 解雇をはじめとする労働相談窓口(主な機関)

 解雇に関する相談をご希望の方は、次の相談窓口にご相談ください。

(1)労働相談ホットライン※北海道所管、社会保険労務士対応 無料
    電話:0120-81-6105(フリーダイヤル)
    月~金曜日 17:00~20:00、土曜日13:00~16:00(祝祭日、年末年始除く)

(2)総合労働相談コーナー※北海道労働局所管 無料
       
電話:011-707-2700
    平日9;00~17:00(祝祭日、年末年始除く)

(3)労働基準監督署※厚生労働省所管 無料
    お住まいの地域によって管轄が異なります。
    電話番号は<<こちらをクリック>>(厚生労働省のHP内への外部リンク)
    お住まいの地域の管轄労働基準監督署は<<こちらをクリック>>
      (厚生労働省のHP内への外部リンク)

4 個別的労使紛争のあっせんによる解決

個別的労使紛争のあっせんとは?

 労働委員会では、労使紛争となった労働トラブルについて、労働問題に詳しい経験豊かな「あっせん員」が、当事者双方からお話をうかがい、問題点を整理した上で助言等を行い、歩み寄りによる解決を図る「あっせん」を行っています。詳細は<<こちらをクリック!>>

解雇に係るあっせん事例紹介

 X会社に勤務するAさんは、ある日突然会社の上司に呼び出され「成績不良のため解雇する」と言われました。Aさんは今まで一度も成績の話をされたことがなかったため困惑し、解雇の撤回を求めましたが、後日会社からは解雇する旨の通知が送られてきました。
 このため、AさんはX会社に対して解雇の撤回を求めてあっせんを申請しました。

 後日、北海道労働委員会においてあっせんが開催され、AさんにX会社が解決金を支払う等の合意書案を提示し、双方がこれを受諾して本件は解決しました。

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「X会社はAさんに一定額の解決金を支払い、Aさんは退職の勧奨に応じる、
という条件で今回の紛争を解決しませんか?」

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「分かりました!それに合意します。」

あっせん制度のご利用に当たって

 あっせん制度を利用するには、紛争状態にあることが前提です。
 まずは相手方に対し、口頭でも文書でも構わないので、あなたの要求を投げかけてください。その上で『いつまで経っても回答がない』、『無視された』、『意に沿う対応がなされない』といった段階になった場合に、あっせん申請が可能となります。

あっせん申請をご希望の方へ、
まずは、お電話でご相談ください。

北海道労働委員会事務局 個別対策グループ
電話011-204-5667
平日8:45~17:30(土日、祝祭日、年末年始除く)

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