戦前の北海道関係映画フィルム

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昭和戦前期の北海道映画フィルムが、修復作業を終えて公開されました。 ここでは短く編集したダイジェスト版(音声解説付き/56分)を無料で動画配信しています。 動画視聴サイトYouTube上にある「北海道庁インターネット放送局「Hokkai・Do・画」」からみることができます。 なお、当館閲覧室ではテレビ画面で全編(無声/3時間10分)がご覧いただけます。

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本編リスト

No.1北海道の沿革及都市 前編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(11:34)

前半「沿革」は、北海道の歴史と明治天皇以来の行幸啓を振り返るが、最後の「摂政宮殿下の函館御上陸」以外は絵図や写真。後半は、室蘭・旭川・釧路・帯広の各都市を、代表的施設を交え紹介する。

〈内容〉
蝦夷地時代古地図、福山湊入港絵図、アイヌ人の海獣猟・熊祭絵図、松前情景(写真)、開拓使庁舎絵図、札幌の建設(写真)、移民の指導と移住小屋の建設(写真)、道路の開削(写真)、鉄道の敷設(写真)、屯田兵の配備(写真)、明治九年明治天皇行幸当時の状況(函館支庁前奉献緑門写真)、明治十四年明治天皇の山鼻屯田兵御巡覧(絵図)、北海道庁生まる(庁舎写真)、明治四十四年皇太子殿下新冠御料牧場行啓(写真)、大正十一年摂政宮殿下行啓(新冠巡覧写真)、函館御上陸-以上「沿革」-
室蘭市市街、日本製鋼所室蘭工場全景、日本製鉄輪西製鉄所工場、溶鉱炉、貨車、室蘭港の石炭積込設備、旭川市市街、師団道路、旭橋、県社上川神社、北海道招魂社拝殿、北鎮兵事記念館、釧路港遠望、春採湖、釧路市大通、幣舞橋、鮪の水揚げ、帯広市市街、県社帯広神社

No.2北海道の沿革及都市 後編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(09:24)

札幌・小樽・函館という当時の道内三大都市を紹介。札幌で空撮映像を多用しているのが珍しい。

〈内容〉
札幌市街上空からの眺め、官幣大社札幌神社、北海道庁上空からの眺め、道庁前庭の池、北海道帝国大学上空からの眺め、大学構内、札幌控訴院全景、札幌駅前通り、市電、札幌グランドホテル、札幌市中心部上空からの眺め、植物園、三越百貨店前十字街、小樽駅、小樽市街、色内町、小樽公園からの展望、小樽港、函館市十字街、明治天皇御上陸記念碑、国幣中社函館八幡宮、函館公園、青函連絡船、連絡船からの貨車曳き出し、五稜郭

No.3北海道の産業農業編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(14:26)

土壌改良や寒冷地に強い農法など試験研究の努力が実を結び、特産品の一部は海外にも積極的に輸出された。昭和初期は冷害凶作が続き、特に冷害に強い作物への転換が要求されていた。

〈内容〉
北海道農事試験場庁舎(琴似村)、[泥炭地の改良]改良前の地表作物、排水溝掘削、客土作業、改良後の作物、[火山灰地の改良]火山灰地の土層、堆肥の造成、緑肥の鋤込み、改良後の作物、[酸性土壌の改良]北海道庁石灰工場全景及び内部、石灰の散布、[水田]苗代、苗取り、田植え、直播器、除草、[主なる畑作物]燕麦畑、小麦の刈取・乾燥、豌豆畑、輸出豌豆の手選り作業、馬鈴薯畑と薬液撒布、薄荷畑と薬液撒布、除虫菊畑、甜菜畑と薬液撒布、亜麻畑と収穫、玉葱畑と除草、リンゴ園と薬液撒布、袋掛け、牧草畑、牧草の機械刈取り、[農産加工]シュガーピース製造過程、オートミール製造過程、[農業の機械化]トラクタープラウ、デスクハロウ、ドリル、コンバインスレッシャー

 

No.4北海道の産業 水産業編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(16:25)

鮭鱒孵化事業の様子や、北海道の代表的漁獲物である、鰯・鮭鱒・たらば蟹・ホタテ・鰊・昆布・鮪の漁風景と加工作業。特に噴火湾沿岸での鮪漁が目を引く。鰯はこの時期、長く北海道を代表する海産物であった鰊を抜いて漁獲高第一位となった。

〈内容〉
北海道水産試験場庁舎(余市町)、[漁港]漁港、ケーソン進水、鰯の陸揚、煮熟、圧搾、乾燥、[鮭鱒孵化事業]北海道鮭鱒孵化場全景(千歳村)、捕魚車(インディアン水車)、人工授精、死卵摘出、稚魚、[主なる漁業]鮭鱒の出漁・沖作業・帰港・陸揚・塩蔵、たらば蟹の出漁・沖作業・帰港・陸揚・煮熟・除殻・剥肉処理・缶詰、ホタテの沖作業・煮熟・剥身・乾燥、鰊の網起し・陸揚・納屋収納、昆布の旗揚・出漁・採集・陸揚・結束荷造、鮪の漁獲(噴火湾)・冷蔵船積込

No.5北海道の産業 林業編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(15:29)

植林や山火事予防など「育てる林業」への取り組みや、道庁が計画的に伐採から販売までを行った「官行斫伐(かんこうしゃくばつ)」を中心に取り上げる。道産インチ材の評価は高く、海外へも積極的に輸出されていた。

〈内容〉
[北海道の森林]天然林の大観、針葉樹林、濶葉樹林、針濶混交林、北海道林業試験場庁舎(野幌)、同試験林、[育林事業]苗圃全景、床替作業、薬液撒布、日覆設備、[造林]山地植付状況、人口植栽林(トドマツ・ヤチダモ)、トドマツ天然更新地、[耕地防風林]民有防風林、国有防風林、[山火警防施設]鯉幟、鉄塔及び伝書鳩、山火巡視、[官行斫伐]伐採箇所の林相、伐採箇所へ杣夫の出発、伐木、造材、運材(玉曳・トラクター・森林鉄道)、陸上貯木場、水中貯材地、[道産材の移出]積卸作業、道営検査、筏の編成、本船積込、[インチ材]製材、積材、製品の検査、[海外輸出]汽船へ積込

No.6北海道の産業 工業及鉱業編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(15:37)

北海道の工業は、特産品と密接に関連しながら、この時期各産業の中でもっとも顕著な発達をみせた。製麻・薄荷・練乳粉乳・製紙・合板・製缶の各工場での作業工程を、丁寧に見せる。また鉱業では、紋別の住友鴻之舞鉱業所をとりあげ、金鉱の採掘から地金に仕上げるまでを紹介する。

〈内容〉
北海道工業試験場全景(琴似村)、[製麻]帝国製麻(株)札幌工場、櫛梳工程、粗紡及び精紡工程、織布、製品、[薄荷]取卸油製造、精製、冷却結晶、遠心分離・蒸留装置、乾燥、薄荷脳の缶詰、包装、製品、北聯薄荷工場全景、[練乳粉乳]森永練乳(株)空知工場、原料生乳の搬入と検定、真空濃縮釜、噴霧式粉乳機、粉乳の缶詰、[製糖]北海道精糖(株)帯広工場、遠心分蜜機及び砂糖滲出槽、製品、[製紙]王子製紙(株)苫小牧工場、原料材の搬入、調木作業、砕木作業(磨砕・蒸解)、抄紙工程、包装、[合板](株)新宮商行合板工場(小樽)、調木作業、薄板製造、乾燥・剪截、膠着・重圧、かんな仕上げ、製品搬出、[製缶]北海製缶倉庫(株)、ブリキ板裁断、製缶工程、箱詰、製品の艀積、本船積込、出帆、[金銀鉱]住友鴻之舞鉱業所(紋別)全景、鑿岩機による採鉱、鉱石の搬出、鉱石を製錬所へ運搬、製錬所、給鉱、鉱石粉砕、溶解撹拌機、真空濾過機、冶金(金銀ふきわけ、地金)

No.7北海道の国立公園 前編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(15:23)

1934(昭和9)年に国立公園に指定された大雪山の自然を紹介している。夏山でもスキーを抱えて登り、雪渓を滑走して下山する様子を撮影。

〈内容〉
[大雪山国立公園]層雲峡の景勝、大函、小函、流星の滝、銀河の滝、旭岳石室を後に絶頂へ、御花畑、首座旭岳の偉容、黒岳石室の朝、桂月岳の岩登り、雪上のサンショウウオ、大噴火口跡(御鉢平)の景観、北鎮岳北面の雪渓、夏スキーにて下山、冬の大雪山

No.8北海道の国立公園 後編

1936(昭和11)年北海道庁編
白黒/無声16mm・DVD(14:35)

前半は大雪山国立公園の南端、十勝岳を取り上げる。登山ばかりでなく、1926(大正15)年の大噴火でできた泥流跡が、恰好のスキー場として注目されていた。後半は、大雪山と同じく1934年に国立公園に指定された阿寒の山と湖の景勝を映す。

〈内容〉
[原始林を縫って十勝岳の探勝へ]上富良野駅吹上温泉間登山道路の走行、吹上温泉、旧噴火口附近、新噴火口の壮観、前十勝岳の頂上よりオプタテシケ連峰を望む、首峰十勝岳、大正十五年爆発当時の泥流跡、白銀荘附近、白銀荘の内部、冬の十勝岳泥流跡のスキー [阿寒国立公園]雌阿寒岳石室附近、阿寒富士、青沼、赤沼、雌阿寒岳よりの展望、山雲雀(キヒバリ)、雨の阿寒湖、阿寒湖からみる雄阿寒岳、マリモ、ボッケ泥火山、阿寒温泉、阿寒横断道路、双岳台附近、ペンケ湖とパンケ湖、摩周湖、美幌峠の大観、屈斜路湖、和琴半島、仁伏温泉、川湯温泉、硫黄山、屈斜路湖畔の夕暮れ、アイヌ人、湖畔のキャンプ

No.9北海道の拓殖 前編

[1936(昭和11)年]北海道庁殖民課編
白黒/無声16mm・DVD(11:46)

もともと移民勧誘のために作成された映画で、北海道移住の実際を解説している。道庁による殖民地の選定・測量の様子や、移住者が青函連絡船で函館に渡り、目的地に到着するまでを追った構成。

〈内容〉
北海道全図、未開地の原野、殖民地選定、測量、移住者募集ポスター、北海道庁青森移住案内所、青森駅、連絡船乗込、青森出港、航行中の連絡船、入港中の連絡船、連絡船上より見たる函館市、函館桟橋着船、函館駅、北海道庁移住者休泊所、函館駅出発、途中の風景(大沼公園と駒ヶ岳・羊蹄山・小樽市街・札幌駅より見た市街・北海道庁・望楼より見た市街・狩勝峠より見た十勝平野)目的地に列車到着、北海道庁移住者世話所、移住地に向かう、共同宿泊所到着、住宅の建築

No.10北海道の拓殖 後編

[1936(昭和11)年]北海道庁殖民課編
白黒/無声16mm・DVD(11:36)

前編に引き続き、移住地到着後の開墾から収穫までの流れを解説するとともに、移民への手厚い保護が強調されている。数年後には移住地が楽土となるとの結末は、移民勧誘映画ならでは。

〈内容〉
[開墾の実況]伐木作業、火入、耕馬と農具、鋤起し、プラウ、デスクハロウ、爪ハロウ、播種、除草、作況、収穫、[移住地における各種施設]神社、布教所、小学校、拓殖医住宅、拓殖産婆住宅、巡回診療、農事試験場根室支場、指導農家、農事の実地指導、共同作業場、部落集会所、集乳所、粉乳工場、殖民軌道、殖民道路、用排水施設、数年後の移住地、建設されたる楽土、ひらけゆく北海道

No.11北海道拓殖実習場 前編

[1936(昭和11)年]北海道庁殖民課編
白黒/無声16mm・DVD(12:52)

「北海道の拓殖」と同様に、移民勧誘のための映画。北海道拓殖実習場は、北方農業の技術を習得させる開拓者養成施設で、前編では入場から実習の様子を見せている。こうした施設への入場によって、府県からも不安なく移住できるとして、「北海道の拓殖」とともに作られた。

〈内容〉
北海道拓殖実習場の位置、十勝実習場全景、北見実習場全景、釧路実習場全景、拓殖実習場綱領、入場の際の身体検査、入場式、場長訓示、長官告辞、入場生代表答辞、[冬季作業]伐木、造材、藪出し、運材、貯木場、製炭、待望の春、[開墾]開墾準備、馬耕、鋤起し、[砕土]デスクハロウ、コールターハロウ、ナタハロウ、ラッパによる播種豆蒔き、蔬菜栽培(トマト種苗育成)、噴霧器による病害虫防除、カルチペーター・ホーによる中耕除草、枕木製材、[開墾後二、三年の作況]小麦、ライ麦、燕麦、デントコーン、馬鈴薯、甜菜、亜麻、薄荷、蕎麦、豌豆、甘藍、胡瓜、トマト、圃場

No.12北海道拓殖実習場 中編

[1936(昭和11)年]北海道庁殖民課編
白黒/無声16mm・DVD(11:04)

拓殖実習場での生活のあれこれを説明する。若い実習生たちの楽しげな表情が印象的。

〈内容〉
[実習場の生活]起床合図の太鼓(午前四時半起床)、拓北神社参拝、ラジオ体操、出動作業割、出発、家畜、晴耕雨読(講義)、[娯楽と教養]座談会、相撲、剣道、卓球、運動会、盆踊り、夕餉、食後の団欒、拓北会購買部、自習、消灯、みのりの秋、野草刈(冬期間の飼料)、燕麦・デントコーンの収穫、デントコーンのサイロ切込、馬鈴薯、大根

No.13北海道拓殖実習場 後編

[1936(昭和11)年]北海道庁殖民課編
白黒/無声16mm・DVD(11:55)

収穫物の加工技術を学び、修了式を迎えるまで。後半では、十勝拓殖実習場の第1期修了生らによって大樹町の実習場隣接地に作られた実験的開拓部落「拓北部落」を紹介する。

〈内容〉
豌豆・燕麦の脱穀風景、倉庫に山をなす収穫物、精穀(黍・燕麦)、製粉(小麦・ライ麦)、[牛乳の処理]搾乳、セパレーター、バターチャーン、包装、製品、[農閑期の修学旅行]農事試験場見学、収穫祭、[修了式]国旗掲揚、国歌合唱、修了証書授与、長官告辞、神社への修了報告、拓北会歌
[拓北部落]十勝実習場生二十二戸の集団移住地、家族を伴い大樹駅到着、馬橇にて懐かしき実習場へ、神前の宣誓、住宅建設を終え開墾に着手す、熱と努力の奮闘は続く、耕馬の手入れ、部落の集会、夕餉の支度、食卓を賑わす見事な蔬菜、夕日は赤し、新墾地に伸びゆく作物、収穫の秋、一戸当たり開墾面積は三年で八町歩、開拓の基礎いよいよ固し(二世を抱く母たち、拓北部落全景)

No.14雪中の軍事教練(北海道)

制作者・制作年不明
白黒/無声16mm・DVD(15:48)

末尾の旗の映像から、小樽高商学生による教練と推定される。冒頭欠落、表題はフィルムリールへの書き込みによる。

〈内容〉
「止レ」「前進」、小隊の火線構成、「突撃ニ進メ」、スキー野外教練、露営、非常呼集、敵の側背脅威の任務を以てする前進、「突撃ニ進メ」、閲兵、「頭右」「直レ」-字幕より-

《解説》1936(昭和11)年の天覧活動写真

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2007(平成19)年6月、全国植樹祭でご来道された天皇陛下から、昭和初期の北海道を撮影した映画フィルム14巻が道に贈られました。フィルムはすべて無声の16mm白黒映画で、これまで長く天皇家で保存されてきたものです。

昭和初期、映画は庶民の娯楽やニュースなどとして相当数つくられていましたが、保存上の理由から今に残るものが少なく、ことに当時の北海道が記録されているまとまった量のフィルムは貴重です。

1936(昭和11)年秋、北海道で行われた陸軍特別大演習と行幸を前に、北海道庁は「天覧活動写真」14巻を当時の宮内省に献上したとの記録が残っています。タイトルは順に、「北海道の沿革及都市」「北海道の国立公園」(各2巻)「北海道の産業」(5巻)、これに北海道庁殖民課が制作した「北海道の拓殖」(2巻)「北海道拓殖実習場」(3巻)を加えた、計14巻でした。

今回寄贈された14巻は、中身に若干の相違はありますが(注1)、ほぼこのときの献上フィルムが里帰りしたものと考えられます。

注1―「北海道の産業」は農業編・水産業編・林業編・工業及び鉱業編の4巻しかなく、畜産業編が欠けています。逆に、献上の記録にはない「雪中の軍事教練」1巻が、今回寄贈されています。「雪中の軍事教練」は、誰がいつ制作したものか、詳しいことはわかっていません。

北海道庁の記録によれば、「北海道の沿革及都市」「北海道の国立公園」各2巻と「北海道の産業」5巻は、昭和11年の7月上旬から8月中旬にかけて撮影されています。短期間での撮影になるため、時期や経費の都合もあり、請負業者が所有していた映像も使って編集していました。

一方、「北海道の拓殖」と「北海道拓殖実習場」は、もともとは移民招致のために作られた、いわば北海道宣伝映画です。北海道庁は、大正8年をピークに次第に減少する北海道移民をもう一度増やそうと、北海道開拓の様子を映画にして、各府県で開催する移民募集の説明会で上映していました(注2)。こうした目的で作られたフィルムですが、北海道庁が取り組む移民政策を天皇に伝えるには格好であるとして、一緒に献上したものでしょう。撮影年はわかりませんが、昭和10~11年頃に設置された施設も映っていることから、一部古い映像も織り交ぜながら、他の献上フィルムと同じような時期に編集されたものと推測されます。

注2―当館所蔵の「北海道拓殖関係映写フィルム」にも、この上映に使われたと思われる映像が収録されており、「北海道の拓殖」「北海道拓殖実習場」と重複する場面があります。

nougyou.jpg『北海道の産業 農業編』より
tennnou.jpg拓北部落への行幸

陸軍特別大演習とそれに付随した地方巡幸は、大正期からはほぼ毎年秋に全国各地で行われましたが、いずれの地にあっても、道府県庁や学校、神社、裁判所、工場などが視察先となりました。1936(昭和11)年の北海道行幸では、これらに加えて、農事試験場、種畜場、工業試験場といった官営の試験研究施設が多く選ばれ、また北海道独自の施設である拓殖実習場や十勝の開拓部落が視察先になりました。このことは、産業発達のうえで北海道では特に官主導の試験研究が重視されていたことを示すものであり、また都市や産業の発展のほかに、重要な課題である拓殖政策の成果を確認する行幸でもあったということができます。

視察先が多く映る献上フィルムもまた、当然ながら、こうした行幸の目的を反映した構成になっています。札幌・小樽・室蘭など都市それぞれの特徴と発展の様子、農耕適地を増やすための工夫と寒冷地に適した作物の選択、豊富な水産物とその加工、鮭鱒孵化事業や植林の取組み、特産品を活かした工場立地や積極的な海外輸出、国立公園に指定されたばかりの大雪・阿寒の雄大な自然、そして北海道史上例がないほどに手厚い保護を与えて移民を募った、この時期の拓殖政策…。映像に映っているのは、行幸に際して当時の北海道庁が説明し、誇りたかった北海道と道民の姿です。

フィルムが作られた1936(昭和11)年は、二・二六事件が起きた年です。国内はすでに軍需産業への傾斜や価格統制が始まり、大正期に成長をみせた道内の各産業もその影響を徐々に受けていました。翌1937年には日中戦争が勃発し、多くの道民の出征が始まります。映像に残る北海道は、こののち戦時体制という大きな変革の時代を迎えることになります。

閲覧にあたって

映画フィルムの公開利用について

本編を見たい

DVD3枚に収録しており、文書館閲覧室備えつけのテレビで無料でご覧になれます。

  • DISC1=「北海道の沿革都市前・後編」「北海道の産業水産業・林業編」を収録
  • DISC2=「北海道の産業農業・工業及び鉱業編」「北海道の国立公園前・後編」を収録
  • DISC3=「北海道の拓殖前・後編」「北海道拓殖実習場前・中・後編」「雪中の軍事教練」を収録

白黒・無声
上映時間各巻10~17分、計3時間10分

ダイジェスト版を見たい

動画視聴サイトYou Tube上にある「北海道庁インターネット放送局「Hokkai・Do・画」」から無料で画像配信されます。
ダイジェスト版はDVD1枚に収録しており、本編同様に文書館閲覧室でもご覧になれます。

白黒・音声解説付き
上映時間各巻3~5分、計56分

【お願い】
画像配信は、混み合ってつながりにくいことがあります。
時間をおいて再度アクセスしてください。

複製がほしい

文書館閲覧室で複写申請してください。有料で複製します。

料金DVD1枚につき200円

なお、複製物を個人的な視聴以外で利用するには、文書館の許可が必要です。

画像状態について

70年以上を経過したフィルムは全体に劣化が激しく、不均衡に収縮していることに加えて、戦後間もない時期に御仮寓所の火災に遭って縮れてしまったものもあります。特に、熱による素材の変質がフィルムに刻みつけた霜状の模様は、修復作業でも除去することができなかったため、映像にはかなり見づらい部分があります。これには、相当な時間をかけて、1コマずつデジタル修正するしか方法がありません。見づらいことを承知で、少しでも早く公開することとしましたのでご了解ねがいます。

北海道庁作成「映画解説」について

1936(昭和11)年当時、北海道庁は場面ごとに説明を付した冊子「映画解説」を作成して、映画フィルムとともに献上していました。今回のご寄贈に際して、この解説書の写しも添えていただきましたので、閲覧の際にはお役立てください。閲覧室に備えつけてあります。

ダイジェスト版について

ダイジェスト版は、本編を約3分の1に短縮し、上記「映画解説」や当時の資料などを参考にしながら音声解説をつけたものです。ただし、「雪中の軍事教練」は制作者・制作年とも不明のため、ダイジェスト版には加えておりません。

なお、動画は、「北海道庁インターネット放送局「Hokkai・Do・画」」のサイト上から配信しております。先頭の「ダイジェスト版を見る」のボタンをクリックして下さい。

「北海道庁インターネット放送局「Hokkai・Do・画」」を見るには下のバナーをクリックして下さい。

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