沿革

学校の歴史

北海道消防学校は、現在までの約50年間に三度の移転をしています。
  創設から現在までの沿革を辿ってみました。
 

 


1.消防学校創設のころ

(1)北海道消防学校は、昭和23年10月22日札幌市中央区南1条西1丁目(中島公園のそばにあった消防 協会の一部を借用した仮校舎)に創設開校された。
開校当時の道内の消防現況は、消防職員2,000人消防団員40,000人であった。
開校当初は、主として現任の消防職・団員を対象とした幹部教育と専科教育として警防及び機関の2科があり、特に自動車の運転免許を取得させる機関教育が主なものであった。

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(2)昭和25年から初任教育と現任教育が始まり、消防学校の教育訓練は幹部教育のほか、初任教育、現任教育、機関教育を中心として教育訓練が実施されている。
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2.北24条のころ

(1)昭和28年8月教育需要に応えるため建築が進められてきた消防学校が現在の札幌市北区北24条西6丁目に完成(収容人員60名)し、近代施設で教育訓練が行われるようになった。
消防業務の多面化に対応した火災予防、火災原因調査、無線等の専科教育を新設し専科教育の充実が図られた。
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(2)昭和30年代はモータリゼーションの波に乗って年々増加する交通事故の背景もあって昭和32年度から4年間整備課程が開設されている。さらに、昭和39年から救急課程が開設されている。
昭和39年度の当時の道内の消防要覧を見ると、62消防本部44消防署147出張所に消防職員数3,033人、消防団数279団に消防団員数36,877人である。
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3.野幌時代

(1)昭和40年に入って市町村における消防体制が整備される中で、入校生の激増に対処するために、訓練施設の拡充整備と教育訓練の向上を目指して、昭和40年12月に消防学校は現在の江別市中央町に移転した。寮の収容定数は108人となった。
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(2)昭和40年から昭和60年にかけての20年は道内の消防体制も飛躍発展した時期であり、消防学校もいろいろな面で教育訓練の充実を図りながら、進んできた時代である。
しかしながら、年間の新規採用者は500人を超えており、年間に初任教育4回(教育訓練期間2か月)の教育訓練は厳しいものがあった。
この教育需要に対処する指導要員を確保するために各消防本部の協力を得て現在の教員制度が昭和42年度から始まっている。
教育訓練の期間も国の教育訓練基準に近づけるために、訓練施設や訓練資機材の整備等を進めつつ、初任教育重点から専科、幹部教育へと質的充実の方向を思考しながら、教育体系の立て直しにも取り組んできた。

 

(3)昭和49年12月、校舎に併設されていた寮を教室に改築し、収容定数252人の寮舎(北辰寮)を増築して教育需要に応えるための寮施設を整備した。


(4)初任教育においては、消防常備化に伴う新規採用職員の受入れ態勢を確保し、昭和50年には専科教育における予防教育の必要性が論議されるようになり、専科教育予防科の中に危険物課程と火災原因調査課程を新設し、予防教育の充実を図るとともに、警防科の中に救助課程を新設した。

 

(5)昭和53年には、救急業務の増大に伴い応急処置の重要性から、救急隊員の資格が法令化(135時間)され、救急隊員の資格者養成が最優先する課題となり、専科教育救急科の教育を年間に4回実施するとともに、これに並行して初任教育期間中においても資格を付与する教育訓練を行うこととした。(syoni院教育の救急教育は、昭和55年から昭和60年まで実施し、1,149人の資格者を養成)

 

(6)昭和60年代に入って消防業務が専従化の傾向が現れ、より高度化専門化に対応する教育が強く求められてきた。
このため昭和61年には特別教育として救急隊長課程、救急隊員現任課程、訓練礼式指導員課程を開設し、質的向上を指向した教育訓練に取り組んできた。
昭和61年10月には山岳遭難や水難など多様な災害に対処するために、救助隊の設置基準が示され、これを受けて昭和62年には特別教育はしご自動車運用課程を設置するとともに、消防大学校に職員を派遣して指導者養成のための研修を行った。
平成元年には、救助隊員の質的、技術的向上を目指して隊員養成の教育内容が広げられ教育時間が延長されることにより、30m級はしご付消防ポンプ自動車を配置し、救助関係資機材を大幅に充実強化した。
平成2年度には専科教育警防科救助課程を救助科として独立させ教育水準の向上を図ってきた。
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(7)プレホスピタルケアの充実が求められる社会背景を受けて、救急Ⅱ課程の取り組みは平成3年度から始まり、救急の高度化に対する各所属の要望を受けて、教育訓練を充実させて救命率を高めることを最優先の課題として進めてきた教育施設の救急教育専用棟が平成4年11月に完成し、本格的な救急教育が始まった。
平成7年度からは若年層の資格者養成を図ることを目的として救急標準課程を開設し、平成17年度からは救急科に名称を変更し、多い時には年間に3回実施してきた。

 

(8)社会生活の変化に合わせ教育環境の改善を図るために学生寮の増改築を取り進め、平成5年12月に北辰寮北棟が完成し、従来の寮舎の改築は平成7年2月に完成して、一室の収容人員を6人から4人とし、学生の生活環境を改善した。

 

(9)平成9年度から女性消防職員の入校に伴い女子寮の設置が必要となり、通学可能な学校近郊の民間住宅(江別市錦町)を借り上げして女子寮(清心寮、定数6人)を開設し、女性消防職員(5名)を受け入れして男女共学による教育訓練を実施している。
平成12年に北辰寮を改築し、1階に女性専用区域を設けることにより、清心寮を廃止した。

 

(10)他防災関係機関との災害時の連携体制を確立するため、平成14年度の専科教育救急科に海上保安庁職員、平成18年度の専科教育救助科に北海道警察本部職員を初めて受け入れ、これまで必要に応じて受入を実施している。令和5年度には専科教育救急科に北海道防災航空隊に所属する北海道警察本部職員を初めて受け入れた。

 

(11)平成20年度から各消防本部の要望を踏まえ、1日あたりの教育訓練時間数を7時間から8時間に変更するとともに、教育訓練内容や実施回数等を一部変更し、教育訓練の充実強化を図った。

 

(12)北海道救急業務高度化推進協議会(MC協議会)が定める講習プログラムに基づき、救急救命士に対するMC(メディカルコントロール)関係特別教育として平成24年度からビデオ硬性喉頭鏡を用いた気管挿管に係るビデオ硬性喉頭鏡講習、平成26年度から心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈確保及び輸血、低血糖発作症例へのブドウ糖溶液投与に係る処置拡大二行為講習を開始した。

 

(13)平成27年3月、「消防学校の施設、人員及び運営の基準」及び「消防学校の教育訓練の基準」が改正され、消防学校の教員数の見直しや標準的に備えるべき施設として実践的訓練施設(模擬消火訓練施設、震災対応訓練施設等)の追加、消防を巡る課題等を踏まえた教科目や時間数の見直しなどが行われた。

平成27年度には初任教育に実火災対応訓練を導入したほか、特別教育として都市型救助課程と水難救助課程を新設した。

 平成30年度には大規模災害における広域応援時の指揮活動能力向上や、札幌市消防局と道内各消防本部の連携促進を目的に札幌市消防局と共同で特別教育大規模災害広域応援指揮課程を実施し、令和6年度からは広域応援指揮課程に名称を変更して実施している。

 

(14)令和元年度、消防関係者や防災専門家等で構成される「北海道消防学校教育訓練等のあり方検討会」において、教育訓練や札幌市消防学校との連携、組織運営体制、施設整備のあり方の検討を行い、令和2年3月に「北海道消防学校教育訓練等のあり方」を取りまとめた。

平成27年の基準改正により追加された実践的訓練施設として、令和3年3月に倒壊建物を想定した瓦礫救助訓練などを行える震災対応訓練施設、令和4年7月に実際の火災に近い環境で訓練を行える模擬消火訓練施設(AFT)を整備した。

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(15)校舎及び寮舎については平成28年に長寿命化診断、平成29年度に耐震診断を実施し、校舎、寮舎ともに長寿命化及び耐震化の処置が必要との診断を受け、寮舎については、令和元年度に耐震化工事及び長寿命化工事を実施した。

 校舎については、耐震改修工事は困難と診断されたため、令和4年12月に新校舎の建設を進め、令和6年6月に最大150人収容可能な大教室や学生用の防火衣乾燥室のほか、緊急消防援助隊の拠点としても活用できるよう自家発電設備などを備えた新校舎が完成し、7 月29日に鈴木北海道知事、冨原北海道議会議長をはじめ工事関係者など約70名が参列し落成式を実施した。

新校舎は「ゼロカーボン北海道」の趣旨に沿い、空冷式エアコンやLED照明の導入などによる省エネルギー化と太陽光発電設備の設置による創エネルギー化により、道有建築物で初めて”NearlyZEB(ニアリーゼブ)認証”を取得したほか、内装には道産木材、外装には江別レンガを使用し、北海道の地域性を感じることができる造りとなっている。

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(16)令和6年度には全国各地で多発している自然災害等における捜索救助の知識・技術を習得することを目的に特別教育大規模災害捜索救助課程を新設した。

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