平成9年度士幌然別湖線に係る調査報告書の要旨

建設部道路計画課

1.事業効果検討 外のうち 事業効果検討業務

(1)目 的
 ○関連地域の実態調査を行い、今後行う間接効果の評価手法を検討することを目的とする。

(2)関連地域(士幌町、上士幌町、鹿追町)の実態調査

  • 人口は約6千人~7千人と規模は同じであり、やや減少傾向
  • 製造業を業種別に見ると、士幌町では食料品製造業が8割以上を占めており、農業(含む酪農)関連の産業と直結している。
  • 上士幌町、鹿追町の観光客入込み数は、ともに年間約60万人前後となっており、月別でみると8月にピークを迎え、季節によりかなりの増減がある。

(3)道路整備による間接効果評価手法の検討
○間接効果として次の4つの効果を掲げることができる。

  • 道路の供用から市場経由で波及する効果
  • 道路の交通機能に対応する外部効果(外部効果) 
  • 道路の供用に伴う環境質の変化外部効果(外部効果)
  • 道路空間が交通以外に利用される効果(外部効果)

○道路の供用から市場経由で波及する効果
1)一次産品の販売額増加による効果の測定
 士幌然別湖線と農業及び関連製造業の関係をみると、対象地域への来訪者が増加することで、「直接的にユーザーと交流し的確なニーズ把握が行えることと、来訪者がこの地域の一次産品等の商品群に関して知名し、結果として販売額が増加する」ことへの期待が高いと考えられる。
 このため、消費者が商品を認知(知名)してから定常的な購入を行うまでのプロセスについて着目し、来訪者の増加により最終的な購買がどの程度増加するか予測する。

2)観光客の増加による効果の測定
 道内客については、発地から観光地へのアクセス時間を抵抗要因とする重力モデルから、また、道外客については旅行取り扱い会社に対してヒアリング又はアンケートを実施し、道路の開通がツアールートの変更に対しどの程度の影響を与えるかを捉えることから、観光客数の増加率を算出する。
 この増加率を用いて将来観光客数を推計し、一人当たりの平均消費金額を乗じることで、将来観光収入の道路整備による増加分を予測する。

○外部効果の測定
 市場により価格形成がなされていない「交通機能に対応する外部効果」、「道路の供用に伴う環境質の変化」など道路整備に伴う間接効果の計測対象である生活機会の増大、自然環境の変化などについて、その価値を金額に変換する手法としていくつかの方法がある。
 本検討における計測対象に共通的に適用できる手法としては、仮想評価法(CVM:Contingent Valuation Method)を取り上げ、その適用性について検討を行ったが、アンケート調査の回答に意図的な偏りが生じる可能性が高いことや、自然環境の変化の影響範囲の捉え方などに課題があり、現時点では手法の安定性という点からその適用は妥当ではないと考えられる。
 また、「道路空間が交通以外に利用される効果」については、本検討対象地域においては、便益として考えられる効果が見込まれないことから、検討の対象としないこととした。

(参考) 道路整備に伴う間接効果

大分類

中分類

小分類

効果

間接効果

道路の供用から市場経由で波及する効果

産業

売上・出荷の増加

外部効果

交通機能に対応する外部効果

生活機会の増大

地域セキュリティ機能の増大

災害時の対応機能の増大

自然環境へのアクセス向上

環境質の変化

騒音

振動

大気

景観

自然環境

道路空間が交通以外に利用される効果

電気、ガス、上下水道等の収容

防災空間

通風・採光など都市アメニティの向上

2.事業効果検討 外のうち ニーズ調査企画業務

(1)目 的
 ○今後行う事業計画に対する住民意識を把握するための検討を行うことを目的とする。

(2)ニーズ調査実施計画の検討
 ○ニーズ調査方針の設定
 調査にあたっては、事業の直接的な影響を受ける地域(士幌町、鹿追町、上士幌町)、間接的な影響を受ける地域(十勝圏)及び全道における住民意識の把握を行う。
 なお、この意識調査は住民に対して事業の可否を問うものではない。

 ○ニーズ調査内容の検討
 設問の概要は以下のとおりである。

  • 背景に係わる設問
  • 必要性に係わる設問
  • 優先性に係わる設問
  • 効果に係わる設問
  • 妥当性に係わる設問
  • 自然環境に係わる設問

 ○ニーズ調査実施計画の立案

  • 調査対象:調査対象域に居住する満20才以上の人
  • 抽出台帳:住民基本台帳より無作為抽出
  • 調査方法:郵送式
  • 対象地域:地元3町、十勝圏、全道
  • サンプル数:合計でおおむね10,000

 ○インターネットを利用した調査の検討
 士幌然別湖線の事業計画に関する情報提供を行うとともに、メールを通じて広く意見を求めるために、ホームページの構成等を検討。

3.交通解析
(1)調査の目的
 ○交通量調査の結果より、然別湖周辺の交通の現状を把握し、再評価のための基礎資料となる将来交通量の推計を行う。

(2)調査圏域(士幌町、鹿追町、上士幌町)の概況
 ○人口は3町合わせて約19,000人であり、全道に比べ高齢化が進んでいる。
 ○昭和63年から平成8年の観光入り込み動向は、全道・十勝圏で1割以上の伸びを、然別湖畔を内包する鹿追町では2割強の伸びを示している。
 ○然別湖畔へ通じる道路は道道鹿追糠平線のみであり、冬季間は然別湖畔から糠平までが非除雪区間のため通行止めとなることから、冬季の然別湖畔へのアクセスは鹿追側からのみとなる。

(3)交通量調査による交通の動向
 ○然別湖畔周辺の道路の交通量の経年変化をみると、鹿追糠平線の然別湖畔で年々増加傾向を示しており、平成6年から平成9年の交通量は約7%の増加となっている。
 ○平成9年度に実施したナンバープレート調査(各調査地点で、走行している自動車のナンバープレートを読みとり、この地域を訪れた自動車がどのような地点を通過したかを把握する調査)によると、然別湖畔への交通の流れは以下のとおりである。
・然別湖畔に立ち寄らないで通過する交通は、国道273号の三国峠方向から国道274号の清水方向への交通、及びその反対方向の交通のみである。
・然別湖畔に立ち寄る交通は、北側については国道273号の三国峠方向の交通のみであるが、南側については国道274号の清水方向の他、帯広方向、士幌方向など多岐にわたる。

 

(4)将来交通量の推計
 ○将来交通量は、ナンバープレート調査結果や、士幌然別湖線が開通することによる交通の流れなどを解析することなどから算出する。
 なお、推計に当たっては、下記のような伸び率の考え方を用いた。
・将来人口の動向や、余暇等の自由時間が増えることにより、観光需要も増えると予想される。しかし、高齢者層は観光において自家用車を利用することが少ないことから、高齢化に伴い自動車を利用する観光の伸び率はある一定レベルに近づくものと考えられること、及び昭和60年から平成8年までの観光入り込み数の経年変化から、平成9年から平成22年の観光交通需要の伸び率は、1.06と推測される。
・観光目的以外の交通の伸び率は十勝圏の各種生産額(工業、農業、商業)に関わりがあり、その経年変化を参考にすると、平成9年から平成22年の伸び率は1.25と推測される。

(5)交通量推計結果
 ○以上の検討により、士幌然別湖線の将来交通量(平成22年)は、平日(年平均日交通量)で約600台/日、休日(年平均日交通量)で約700台/日と推計される。

4.概算工事費算出業務
(1)設計条件

  • 道路規格   第3種第4級
  • 設計速度   V= 40 Km/h
  • 交通区分   A交通
  • 車道幅員   0.75+0.75+5.50+0.75+0.75=8.50m
  • 防災用設備  B等級(トンネル延長L=2,425.5m 及び計画交通量より)
  • 換気設備
    トンネル延長および交通量からは、機械換気は必要ではないが、自然環境に配慮するため、機械換気設備を計画する。
  • 吸音設備
    供用後のトンネル内走行車輌の騒音及び機械換気設備の騒音を低減する目的で両抗口内壁に吸音板を設置する。

(2)トンネル設計・施工上の留意点
 本トンネルは、国立公園内に建設されるものであるため、その計画においては自然環境の保全について配慮する必要があり、特に以下の点に留意する。

  • 切土等による地形改変は極力避ける。特に、鹿追側坑口においては切土を必要としない坑口計画とする。
  • トンネル地山の地下水に配慮した設計とする。
  • 鹿追側坑口は第1種特別地域であることから、自然環境に配慮するため、機械換気設備を計画し強制的に士幌側坑口へ排気する。
  • トンネルを掘削する際に発生する残土については、国立公園外へ搬出する。

(3)概算工事費の算出
 本業務の未改良区間の概算工事費は、およそ96億円となる。

  • トンネル工  約 92.8億円(延長 L=2,424.5m、車道幅員 W=5.5m)
  • 橋 梁 工  約 1.2億円(延長 L=  34.0m、車道幅員 W=5.5m)
  • 道 路 工  約 1.6億円(延長 L= 300 m、車道幅員 W=5.5m)

    計    約 95.6億円

5.気象調査
(1)調査の目的
 ○本調査は、士幌然別湖線計画トンネル両坑口付近において現況の気象を観測し、両坑口箇所での排気ガスの予測、及びトンネル内の通風の予測に必要な気象データを収集することを目的とする。

(2)調査地、及び調査方法
 ○上士幌側トンネル坑口予定部分、および鹿追側トンネル坑口予定部分の2箇所に、観測ポール(上士幌側のポール高さ約10mと鹿追側のポールの高さ約7m)を設置し、それに取り付けたセンサーで各項目を測定し、自己記録装置によって記録する。

(3)調査項目
 ○風向、風速、気温、湿度、気圧、日射量

(4)調査時期
 ○平成10年3月1日より、約1年間の連続観測とするが、平成9年度調査業務では、平成10年3月20日までのデータの回収、及び集計を行った。

(5)調査結果
 ○平成9年度調査については、約20日間のデータの回収・集計のみであり、今後の継続調査のデータの集積を待って、分析を行う。

 ※「平成9年度士幌然別線に係る調査報告書」については、次の場所において縦覧が可能です。
 ○北海道建設部道路計画課、帯広土木現業所、士幌町役場、上士幌町役場、鹿追町役場

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