再評価調書(「医療・産業・研究都市づくり」の推進)

平成10年11月10日

1.対象施策の概要

(1)施策の目的・内容(背景・契機)
 道は、都市開発や高次医療センター、研究所の建設などを内容とするハイメックス構想が、当初想定した第三セクターによる事業化が困難となったことから、ハイメックス協議会からの要望を受け、公的機関による土地開発、道立研究施設の建設などを産学官がそれぞれ役割を担いながら取り組んでいく「医療・産業・研究都市づくり」事業を進めることとし、平成6年9月に基本構想を策定し、北広島市南の里地区において、「医療・福祉関連等を中心とする研究開発・サービス提供の拠点形成と快適な住環境を備えた街づくり」を行うこととした。
  
(2)経過(事業実績)
昭和62年8月 北海道国際医療・産業複合都市建設推進協議会設立
平成2年4月 北広島市(当時は広島町)南の里地区を適地として選定
平成3年5月 協議会は土地開発等を行う第三セクターの設立を断念し、道に公的機関による土地開発の促進、道費による共同利用型研究施設の整備、財団法人に対する出捐の要望書を提出
平成4年4月 協議会は「ハイメックス基本構想ならびに事業化方針」決定
平成4年6月 道は、「医療・産業・研究都市づくり」事業を進めることを決定
平成5年9月 道は北海道住宅供給公社に土地開発の要請し公社は受諾
平成6年9月 道は「医療・産業・研究都市づくり」基本構想を策定

(3)停滞要因及び将来の見通し(問題点)
 環境影響評価のための現状調査により存在が確認された着目すべき動植物に配慮した土地利用計画の見直しを検討した結果、公社が実施する土地区画整理事業の着手が困難な状況にあること、また、用地の分譲開始時期が定まらないことにより共同利用型研究施設等の施設整備の基本計画策定に着手できないこと、さらに、財団法人の設立が難しく、具体的な企業誘致活動ができないことなどの様々な課題が生じており、今後、事業の停滞が懸念される状況となっている。

2.検討の基本的視点

 「医療・産業・研究都市づくり」事業については、「ハイメックス構想」の実現を目指した取り組みの一環として進めているものであることから、「ハイメックス構想」が策定された昭和62年から現在に至るまでの、道内の社会経済情勢の変化はもとより、保健医療分野における研究開発や高齢者・障害者に配慮したまちづくりなど、本事業を取り巻く環境変化を分析・検討し、関係者の意向も踏まえながら、事業の必要性や妥当性等を総合的に検討した。

3.道としての対応方針
 
 先に提出された所管部局の検討結果を踏まえ、道としては次のような方針で対応することとする。

(1)事業の取扱い
 対象地区内において着目すべき動植物の保全措置が必要となる一方、国立代用臓器開発研究センターや企業研究施設の設置が見込めない中で、インターネットを活用した分散ネットワーク型の研究開発の可能性や道内の厳しい経済環境のもとでの大規模な投資に対するリスクなどから、研究開発・サービス提供等の拠点整備の実現可能性は乏しく、また、現在の札幌圏における住宅地開発の動向等を踏まえ、大規模な住宅地を整備する必要性・緊急性も認められないこと等を総合的に判断し、「医療・産業・研究都市づくり」事業は、取り止めることとする。

(2)今後の取組み
 本事業予定地にある北海道住宅供給公社の保有地は、住宅団地としての開発が見込めない中にあって、都市近郊に残された貴重な動植物が生息する豊かな自然環境を有する土地であることを踏まえ、今後、その適切な利活用方法等について庁内に検討機関を設け、年度内を目途に検討を進める。
 土地の利活用方策が決定・着手されるまでの間は、予定地を保有する北海道住宅供給公社に対して道として必要な対策を継続するとともに、ハイメックス建設推進協議会の今後のあり方の検討や北広島市が今後取り組む新たなまちづくりの検討に対し、必要な協力を行っていくこととする。
 なお、高齢社会を迎える中で、道として、高度先端医療技術等に関する研究開発や関連産業の振興に取り組むこととする。

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