知事・夕張市長との共同記者会見(平成19年1月22日)

知事・夕張市長との共同記者会見

・日時/平成19年1月22日(月) 11:31~12:00
・場所/東京事務所
・記者数/22名(テレビカメラ8台)

会見項目

  

知事からの話題

(知事) 
 本日は、誠にご苦労さまでございます。
 それでは私と夕張市長から、二人で10時30分に、菅総務大臣にお目にかかりまして、夕張市の再建に対する国のご支援ということで、状況のご説明と支援の要請を申し上げたところです。その中身についてご報告を申し上げたいと思います。
 まず、夕張市長の方から市としての考え方について、これは皆様方にもお手元に資料が行ってると思いますが、これに沿ってご説明を差し上げます。

(夕張市長)
  ご苦労様でございます。今、知事からお話しがありましたけれども、私の方から夕張市の財政再建計画素案取りまとめの考え方、資料をお配りをしておりますけれども、簡単にご説明を申し上げます。
  素案作成の趣旨でございますけれども、11月14日に示しております基本的な枠組み案について、市民の声などを踏まえながら財政再建に向けた赤字解消の考え方や、事務事業の位置付けについての市の考え方をとりまとめたものです。
 解消すべき赤字額につきましては、18年度までの赤字額は360億円程度の見込みでございます。再建期間については現在検討をしているところです。
 主な事務事業の取り扱いについてですけれども、住民生活に密接に関連する項目のうち、廃止することによって影響を極力緩和する観点から、以下のことについて検討しているところです。
 最初に高齢者の暮らし関連でございますけれども、夕張市の高齢化率は41%、極めて高い高齢化率となっております。こういった本市の実情を踏まえまして、敬老乗車証の自己負担の見直しを図りつつ、今後、市内の送迎体系の見直しを検討する中で、当面制度を存続してまいりたいと考えております。
 また、地域住民、特に高齢者から存続を求める要望の強かった公衆トイレについても、地域住民の協力を得ながら、2カ所について存続をしてまいりたいと考えております。
 子育て教育関連でございますけれども、学校統廃合については、児童生徒の教育と財政再建を考慮し、また市内の交通体系の見直しとの関連などを踏まえ、今年度中に検討してまいりたいと考えております。
 さらに、保育料の問題でございますけれども、これについては激変緩和措置として平成19年度以降、経過期間を設けまして、段階的に保育料を値上げしてまいりたいと思っております。
  なお、18年度をもって市内5カ所のプール全てを廃止する方向で検討しておりましたけれども、ご案内のとおり山間部に居住する児童生徒の体育活動に与える影響等を考慮しまして、市民センターを夏季休暇期間中に限定して存続してまいりたいと思っております。
 地域コミュニティ関連ですけれども、南部コミュニティセンター、南部地域については、これを廃止すると全ての公共施設がなくなるということで、非常に住民生活への影響が大きいことから、19年度以降、町内会が指定管理者となりまして、清掃等を市民自ら行い、経費の削減を図る、こういった方向で存続をしてまいりたいと考えております。
 以上、素案の取りまとめの考え方、簡単に申し上げましたけれども、これらの考え方、先程、知事からお話しもございましたけれども、総務大臣に考え方をご説明申し上げたところであります。
 今後、私どもとしては、今月末から来月にかけまして市民説明会を開催する予定でございますので、これらの考え方を説明し、市民にも理解を求めていきたいと思っております。

(知事)
  そして私からは引き続き以上の市の考え方を踏まえまして、私ども道としてどういった支援を考えていくかのご説明を申し上げました。
 四つの柱でご説明をいたしました。
 一つ目は、計画的、安定的な財政再建の推進という点でございます。先程、市長からございました赤字相当額の一時借入金について道が融資をする。その際に金利負担の軽減をしていく中身としております。
 二つ目の大きな柱が、市の行政体制の確保という点でございます。市が当初予定しておりました職員の希望退職の数字が想定を超える形で積み上がってきていて、多くの職員が辞めようとしておられるという中で、今年の4月、19年度からの市民行政サービスの体制をきちっと整備をしていくために、道として助成をしていくということであります。
 道が一部事務の負担をやることもございますし、道職員の派遣、あるいは業務によっては周辺市町村との間の調整も含んでおります。
 三つ目の大きな柱が、市民生活や地域経済への影響緩和でございまして、先程、市長からもお話しがございました。また、昨年の暮れに総務大臣が現地にお入りになられた時にお話しがございました、高齢者あるいは子どもに対する配慮を含めて市民生活を守っていくための助成、そして、雇用を含めて地域経済への影響緩和、こういったことに道も支援をしていくと申しました。
 四番目の柱としては市民活動の拡大。NPOの設立をはじめとして、夕張市民の方々が、あるいは道内外でそれを応援するいろんな形で市民レベルの活動を拡大する動きが出てきているところでありまして、そういったことに対して道としても支援をして行きたい。
 以上、四つの柱での道の支援をご説明をし、そういったことに対する国としての支援の要請もさせていただいたところであります。
 こういった私どもの要請に対し、大臣と、そして昨日夕張市をご視察いただいた土屋大臣政務官も同席しておられましたが、我々二人の説明に理解を示していただいたと思っているところであります。
 「知事が道内の他の市町村とのバランスも見て判断をし、市がこうしたことを踏まえてまとめたものであるので、国としても協力をさせていただきたい。今後の詳細については土屋政務官を窓口としてやっていきたい」とお話しがあったところです。
 また、個別具体的な話としては石炭博物館。これは模擬鉱といっておりますけれども、実際にかつて石炭を掘っていた現場を残して、当時の石炭の生産のやり方を観光客あるいは修学旅行生等に展示をしているものを中心とした施設でありますが、石炭博物館については、国のエネルギーの歴史そのものである、あるいは夕張のシンボルであることから残した方が良いというお話しもあったところです。
 こういったことを含めて、大臣からは関係省庁にも協力を要請していくというご発言もあったところです。
 私どもといたしましては、大臣への状況説明と要請活動を踏まえまして、これから市と共同して素案をさらに固めてまいりまして、道としての支援をまとめていくことを考えているところであります。
 

記者からの質問

(北海道新聞)
 素案の関係ですけれども、11月に市が示された枠組み案では計画期間20年程度という表現でしたけれども、こういった道の金融支援、あるいは退職者が想定よりも増えたことを踏まえますと、計画期間はこれよりも短縮される見通しでしょうか。そのへんの見通しをお伺いいたします。

(夕張市長)
 道の支援については、報道されてございますけれども、私は道からの正式なお話は聞いてございませんのでコメントできないのですけれども、現時点では360億円程度の赤字を20年程度で計画を進めていくということでございますが、今後、具体的に今月末までに素案の策定に向けて、道、国と協議、調整をしていく、その中で一定程度明らかになっていくことだと思っています。

(毎日新聞)
 市長にお聞きします。取りまとめの考え方の中で細部になってしまいますが、一点目が高齢者の暮らしについて、高齢バスは具体的にはどれくらいの負担ということで存続したいとお考えになっていらっしゃるかということについて一点。保育料についても経過期間ですが、どれぐらいを想定していらっしゃるのかという一点。それから、プールについては5カ所全てを廃止することをお考えなのか、3点お願いします。

(夕張市長)
 高齢者の負担については、現行200円ということで、敬老バス運行させていただいておりますが、これをどうするか。当初は、継続していくことは厳しいのではないかということでございましたけれども、大臣が昨年暮れに夕張に入っていただきまして、直接市民との話し合いの中から「高齢者、子どもたちに対しては、一定程度の配慮をする」こういうご発言もございました。そういったことも踏まえて、国と道と調整をさせていただいておりますので、冒頭申しました制度を、現時点では制度を存続するということでございまして、この200円の市民の負担額をいくらにするかということで調整しておりますので、ご理解賜りたい。
 経過期間についても、これは申し上げたとおり保育料の問題ですね。この問題については、経過期間を設けて設定をするということでございますが、一定程度、長い道での経過措置を考えておりまして、当初は3年間ということで考えておりましたけれども、大臣の発言も踏まえながらもう少し激変緩和を考えていきたい。
 それから、プールについては廃止をいたしますけれども、スイミングセンターは短期間継続しプールについては廃止をしたいと考えております。

(HBC)
 知事にお伺いしますが、先程の市の行政体制の確保、市民生活の影響緩和ということですが、例えば除雪なんかも道が一部行うこともできるのかなと思いますが、具体的にはどのようなことをお考えですか。

(知事)
 具体論の詳細を詰めるのはこれからということになりますが、例えばということで申しますと、行政体制の確保に対する支援ということでは、消防の話は道が直接やるというよりも市町村の皆様方の協力が必要ですので、こういったことについては、近隣の市町村への協力要請をやっていこうと考えております。また、もう一つの道職員の派遣ということですが、これは専門分野、様々な専門職員の派遣などが中心になると思うのですが、加えて道による一部事務の実施ということを先程申しましたけれども、例えば建築確認ということも想定しているところでございます。いずれにいたしましても、詳細はこれから全体の再建計画づくり等と平行して進めていくことになろうかと思います。
 それから、市民生活の確保という観点につきましても、例示としては、今日も大臣がお話されたのは除雪の問題。それから路線バスの確保に向けての問題。それから、医療についてですね。高齢者、子どもそれから障害者の方々などに対する医療の助成、道として支援ができることはないのか。そういった観点から、道としていろいろと検討させていただいているところです。

(NHK)
 大臣に対して国としての支援の要請をされたということですが、具体的にはどういったことを想定してらっしゃるのでしょうか。知事よろしくお願いします。

(知事)
 具体論につきましては、先程冒頭申しましたとおり土屋大臣政務官が窓口となって、これからスピード感を持って詳細を詰めていくということになっているわけでありますが、今日、市長から考え方をご説明申し上げ、そして私からは4項目について、今申し上げたような事例を含めながら大臣にご説明をし、そういった両名からの説明に対して大臣も理解を示されたと理解しておりますので、今後そういったことを軸に、さらなる詳細の詰めになってくるのではないかと、このように思っております。

(テレビ朝日)
 知事にご質問したいのですが、国に今、支援をお願いしたという話なんですけれども、具体的に金銭面の話などは出ましたでしょうか。

(知事)
 出ておりません。

(テレビ朝日)
 重ねて質問させていただいてよろしいでしょうか。道としまして360億円の融資を検討する方針を固めたということですが、今日、それは総務省に了承されたと考えてよろしいんですか。

(知事)
 現在、この債務の借入金全体について、道から低利の融資をすることに国からもご支援をいただきたいとご説明したことについて、先程と同じになりますが、我々の説明について理解を示されたということで理解をしております。
 ただ、詳細については、今後の議論になろうかと思っております。

(テレビ朝日)
 もし、道が360億円の融資を決定したとなりますと、金利の差額分はどういった形で調達するかなど、細かい点について教えていただければと思います。

(知事)
 詳細は今後になるかと思います。

(読売新聞)
 市長にお伺いいたします。学校の統廃合についてですが、枠組みの中では1市に小中学校各1校に削減するということだった思うのですが、改めて、そういった1校ということではなく、設置を考えていくということなんでしょうか。

(夕張市長)
 小学校1校、中学校1校。1校1校体制ということで進めてございましたけれども、先程申しましたとおり、教育についても一定程度配慮するということでしたので、再度検討、練り直しをしてございます。いろいろと市内的な、地理的な状況もございますので、まだ、その考え方をまとめておりませんけれども、今月末に住民説明会に入っていくまでに、考え方をまとめていきたいと思いますが、地域的な状況もございますので慎重に検討していきたいと思います。

(朝日新聞)
 2点お伺いしたいのですが、まず市長に、今の学校のお話ですが、一部報道に11校を3校にというお話も出ておりますが、これが有力な考えということでよろしいでしょうか。

(夕張市長)
 3校ということも事務的に検討としてやっておりますけれども、これはまだ、有力とかではなくて、1校1校体制ということも今後検討に入ってくると思います。3校が有力ということではございません。ただ、3校体制、2校体制をいうことも検討しているということは事実でございます。

(朝日新聞)
 もう1点知事にお伺いしたいのですが、石炭博物館の話を菅大臣がされたということですが、これは具体的に政府として、なんとか支援していくということでのお話なのでしょうか。 

(知事)
 詳論については、また今後ということになろうと思うのですが、私どもから申し上げたのは、採算性が合うような形で運営ができるような体制をどのように整備するのかということについて、まずは我々として人件費、それから地下に潜っていますので維持のための経費も当然かかります。そういったことも踏まえて、採算性も検討していかなければならない。その上での我々の経営の考え方を示していかなければならないと申し上げましたところ、大臣からは、具体的にどういう支援というのはこれからの話だけれども、関係省庁にも要請をしてまいりたい、というご発言がございました。

(HBC)
 今の石炭博物館に関連してですけれども、委託先、売却先を公募していると思うのですが、市での経営も継続することも踏まえてということなのでしょうか。

(夕張市長)
 お話ありましたとおり今月いっぱい売却、あるいは指定管理者に基づく運営管理の委託ということで公募しております。この動向を見極めて、応募がなければどうするかということは、市の直接的な運営管理も含めて、その後に検討してまいりたいと思っております。

(テレビ朝日)
 市長にお伺いします。市立の総合病院では人工透析が出来なくなるということを患者に説明があったそうなんですが、救済策については何か話が出ましたでしょうか。

(夕張市長)
 今、病院も再建計画ということで進めているわけなんですけれども、その中で、当初は病院での再建計画を目指しましたけれども、医師が確保できないということで、診療所による公設民営化ということで進めております。
 その中で、当初は透析も診療科目に含めていたんですけれども、これまた医師の確保が難しいということから、現状では4月以降、透析患者を診療することは大変厳しいということであります。
 したがって、昨日、透析患者に対する現状の説明をして理解を求めたところでしたが、透析患者にとっては急な話でございましたので、大変厳しい意見も含めていろんな意見が出されました。
 今後は、私どもとしては、医師の確保が出来なければ問題の解決はできないわけですから、そういったことでは努力をしますけれども、このことは国、道も大変心配をしておりまして、ご相談をさせていただきながら、進めていくことになろうかと思いますけれども、今後は、さらに患者の皆さんの考え方を聞きながら、透析患者に対する治療が出来ないとするのなら、近隣の医療機関に要請をして、そこで受けてもらわなければならないということになります。したがって、そうなると通院する場合のいろいろな問題が出てくることとなりますので、現時点では、市としてはそれに対する具体的な調整をすることは出来得ないわけでありますから、どういった方法があるのか、ということを検討しながら進めてまいりたいと思います。

(テレビ朝日)
 同じ質問を知事にもお答えいただいてもよろしいですか。
  夕張市の総合病院では、透析患者の受入ができないという見通しということなのですが、この点について知事のお考えをお願いします。

(知事)
 今、市長さんの方からご説明ございました市民の方々のお声を踏まえて、そして市ご当局とも、いろんなお話をしていかなければならないと思っております。

(HTB)
 感想程度でしかないんですけれども、知事にお聞きします。知事は当初、市と国の間に入って汗をかいていきたいとおっしゃっておられました。今回、十分汗をかけたかなとお感じでしょうか。

(知事)
 東京は思いのほかあたたかいなと思いましたけれども…。
 ここまで夕張市さんの再建に向けて、市長自身が一番ご苦労しておられるわけでございますが、素案の基本的考え方の提示、そして今、素案に向けての最終的な調整、市民説明も含めて、いろいろとご努力をしておられるところでございます。
 そういった市のご努力に対しまして、私ども道としては、まずは市に対して道職員を派遣し、この再建の枠組みをきっちり議論するためのサポートをさせていただいているところであります。
 加えて私自身も入らせていただいておりますし、いろんな形で市民の方々の声、これは夕張市内でもお伺いしましたし、札幌市でお伺いしたこともございます。直接的に夕張市の方々がどのようにお考えかお伺いしてきたところです。
 そして、国からは総務大臣にも年末にお入りいただき、昨日は大臣政務官にも地元にお入りいただいた。そういった中で、私ども道は市の努力を踏まえて、道内の他の市町村との様々なバランスを検討しながら、国に対して要請をしていくという、まさに間に入っての調整でありますので、そういう意味ではここまで汗をかきつつあるのかなと思いますが、まだ、汗をかかなければならない部分がありまして、なんとしても3月一杯までに再建計画をセットし、夕張市の財政再建に向けての船出をしっかりとしたものとすべく努力をしていきたいと思います。

 

 

 


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