知事定例記者会見記録(平成21年10月23日)

知事定例記者会見

・日時/平成21年10月23日(金) 14:02~14:22  
・場所/記者会見室
・記者数/30名(テレビカメラ2台)

会見項目

 

記者からの質問

1 地域航空ネットワークの維持について
2 丘珠空港について
3  北海道新幹線について
4 ダム事業の見直しについて

記者からの質問

(北海道新聞)
 A-net(エアーニッポンネットワーク)の問題についてお尋ねしたいのですけれども、全日空との協議が、先日、4回目ありまして、早ければ今月中にも千歳への集約というのが表明されると思われます。それで、これはHAC(北海道エアシステム)の問題ともちょっと絡むと思うのですけれども、この後、丘珠空港をどう存続させるかというのが問題になってくると思うのですが、知事としてこの問題にどう取り組まれるか、今後のお考えについてあらためてお伺いしたいのですけれども。

(知事)
 一連の全体の問題ということですか。

(北海道新聞)
 そうですね。この段階でということで。

(知事)
 まず、丘珠空港発着路線に係る協議会につきましては、前回の記者会見があった日だったと記憶しておりますが、全日空からは、もうこれで実質的に打ち切りたいというようなお話があって、それについていろいろな議論があり、道が引き取る形で今後の協議会の持ち方や進め方について、道が中心になって出席者の意見・意向を集約することになっておりまして、今、鋭意その作業をさせているところでございます。
 一方で昨日、担当部局の職員が全日空にまいりまして、道の方針としてA-netの丘珠空港路線の存続をあらためて求めるという申し入れをしているところでございます。
 これからの展開につきましては、あまり仮定の議論でいろいろな場合分けをして申し上げるとか、そういう性格のものではないと思いますが、やはり丘珠空港というのは重要な空港であると言えます。これは、広大な北海道の中における人の交流なり、産業活動、観光活動の振興なりといった意味で、道内各地の空港の間を結ぶこの航空路線は重要であると同時に、道外の各地域と結ぶ路線も重要だという認識の中で、特に都心に近いこの位置付けにある道都札幌の唯一の空港、丘珠空港の重要性ということは論を待たないものであろうと、考えているところでございます。
 ただ、審議会でも議論があったようでありますが、従来から言われております、中心部からのアクセスがどうかとか、いろいろな見直し等をしていかなければならない点はあるのかもしれません。
 ただやはり、丘珠空港というのは道内航空ネットワークの中において重要な位置付けを有しているということを前提に、関係自治体、あるいはそれ以外の関係者の皆様方とどういう議論をしていくのか、ということかと思っております。
 また加えて、今JALの再建問題との関係において、道外空港との直行便について、廃止の方向とかいろいろな意見も出ているところであり、トータルで道内の航空路線について、本当にこれからどのように維持強化していくのかということは、考えていかなければならないし、そういった観点から今回のA-net問題についても、粘り強く全日空さんとの協議を行っていかなければならないと思っております。


(HBC)
 引き続き丘珠のお話なんですけれども、今、財界の方々、航空会社に限らず財界の方々に伺いますと、1500メートルという滑走路では、やはり後継機種の問題、それから運用の問題で限界があると、中核空港としてこの1500メートルでは、やはり限界があるのではないかということを皆さん、口を揃えておっしゃるのですけれども、これは審議会の報告待ちかもしれませんが、現時点での知事のこの滑走路延長、この滑走路の長さについての考え方はいかがでしょうか。

(知事)
 この空港に関わるさまざまな問題というのは、長い歴史の中で、住民の方々といろいろな議論を積み重ねながらやっていかなければならないということもあります。例えば、新千歳空港の滑走路延長問題も長い間かけて今も誠心誠意、住民の方々とのいろいろな話し合いを続けているところでありますので、そういったことから考えると、この丘珠空港の滑走路の延長問題というものも、なかなか軽々に発言をすべきことではないかなと思います。
 私どもとしてはやはり、札幌市の中心にあるこの空港として、今言われたようなことを経済界の方々がおっしゃっておられるという事実があるとすれば、そういう有識者の方々のご意見も踏まえながら、どういう利便性の向上があるのかということの検討が必要かなということくらいですかね、今段階では。


(朝日新聞)
 北海道新幹線の札幌延伸の件で伺います。先般、国交大臣が未着工区間については、政府与党合意を白紙に戻すというような発言があって、知事は、年末予算編成まで推移を見守るというコメントを出されていましたが、例年この時期になると、中央の新幹線陳情というものを北海道に限らずやっていたのですが、今後、札幌延伸を実現することを目指すとすれば、従来どおり中央陳情というものだけを続けるのか、それとも例えば、道なり経済界があらためて需要予測とか採算性などを今の現政権下に伝える努力なんかの手段を考えているのかどうか、そのあたりをお聞かせください。

(知事)
  年末までに限らずその先までも含めて、この新幹線の札幌延伸に向けての動きについて、私どもとしてまず考えておりますのは、北海道ばかりではなく、北陸や長崎を含めて、この新幹線を抱える地域の都道府県のネットワークの組織がありますので、そういった枠組みの中でもまず、11月のしかるべきタイミングまでに、国交大臣をはじめ関係者への要請活動を行っていこうと思っております。
 国交大臣なり国交省の政治家幹部の方々は、前政権時代の政府と与党の合意だから白紙は当然みたいな言い方をされましたが、昨年12月の中頃でしたか、ある意味、政府・与党合意といった形で政府として国民に対してお約束をされたことだと、私どもは受け止めていたわけであります。それは別に私ばかりではなく、特にこの問題を主として抱えておられる北陸なり西九州の皆様方も同じ思いではないかと思います。
 その意味であらためて、まずはこの地域の枠組みの中で政府に対して申し入れをしたいと思っているところであります。
 あらためての積算なり経済効果なりということを行うかというご質問でありますが、私どもも今まで、函館着工を決めたまでの時期も含めて、この新幹線が来ることによってどういう効果があるのか、そしてそのことが道民生活をどのように変えていくのかということは、外注や、われわれ自身が、いろいろな形で試算をしながら、それを時の政権にあるいは関係諸方面に提案しながら運動展開してきた実績があります。
 今現在私どもが経済界の方々とともに持っております、さまざまな経済効果等の数字もしっかり資料の形で整理し、あらためて政府に向き合っていく必要があるかなと思っております。
 それからこの問題については、道民の皆様方の意識の向上が重要であろうということは、前から思っておりまして、お子さん方にまずは新幹線に乗ってもらうためのツアーであるとか、あるいは、日ハムの選手に新幹線大使を行っていただくとか、そういった道民の皆様方の機運盛り上げの運動は引き続きしっかりと行っていきたいと思っております。
 加えて、こういった札幌延伸の動きに加える形で、道議会で並行在来線の議論が今まで以上によく出てきているのではないかと私は認識をしております。前原大臣も、これはお約束事だから函館まではしっかりやるということを明確に言っていただいておりますので、そういう意味では並行在来線のうち、この道南エリアは待ったなしで、我々として以前からお示ししておりますスケジュールの中で方向性を出していかなければならないわけであります。
 こういったことについて先般、南九州の肥薩おれんじ鉄道の視察をしましたし、青森の状況それからこの前は岩手の状況なども知事さん方にお伺いしておりましたが、そういう先輩県の皆様方のご苦労なども踏まえてどういう形で並行在来線問題に対処していくのか、そしてその中で国に対してどういう要請をしていくのかということも含めて、この新幹線問題に対して取り組みを加速していきたいと考えております。


(NHK)
 ダムについてなんですけれども、2点ございまして、前原大臣のご発言以来、これまでダム運動に反対されていた方々が、また道や国に対して要望書を出されたりですとか、あと田中康夫議員が今日、道内のダムを視察に訪れたりしていて、動きを強めていらっしゃるわけなんですけれども、その中で彼らのご主張として、財政が厳しい中、巨額のお金を入れる必要があるのかという趣旨のお話をされていたりもするわけなんですが、一方で、例えば中止になったりすれば道財政にとっても補償の問題ですとか大きな影響が出てくると思うのですけれども、それについての知事のご見解をお伺いしたいのが1点と、もう1点が補助ダムについて、まだ詳しい内容というのは入ってきていないわけなんですけれども、仮に大幅にカットされた場合、今の財政状況から見ると非常に厳しい部分もあると思うのですが、それについての知事のお考えを聞かせていただけますでしょうか。

(知事)
 それは補助事業について国からの補助金がカットされた場合の影響ということですか。

(NHK)
 はい、そうです。

(知事)
 ダムについては補助ダム、直轄ダムとも一度立ち止まって見直すということを国交大臣が言われ、さらにその後いろいろな情報が出て、かつ、私自身も前原大臣とその後2回くらい接点があった時に直接確認させていただいている中で、少しわかってきたところによれば、国直轄事業については立ち止まる、次の新たなる段階には入らないということを明言しておられます。
 それから補助ダム、すなわち道が主体となるダムについては道の考え方というものを尊重する。ただし、それは今年度内ということでありまして、来年度以降についてはまだ方針は決めていないという言い方であったと理解をいたしております。
 補助ダムについても直轄ダムについても賛成の立場の方、反対の立場の方、本当にさまざまなご意見があることは承知をいたしております。これはダムに限らず、いろいろな物事を決めていく中で100人いて100人が全部賛成するものはあり得ないので、いろいろな意見が出ている中で集約をして、多くの方々が望んでおられる方向に物事を進めていくということが民主主義のルールだと思いますので、そういうことを心がけながら今までも仕事をやってきたわけであります。
 その意味では、いろいろなダム事業についての反対派の方々の動きが強まってきているというのは、もちろん我々補助ダムの執行主体として、重く受け止めなければならない部分でありますが、しかしながら、それ以外のご意見を含めて総じて見て、それぞれのダムについて道民の方々がどのように考えておられるかという視点を重視しながら、それぞれの補助ダムについて来年度以降どのように取り組むかということを考えていくことが基本スタンスであります。
 そういった中で、補助ダムについて我々は、いろいろな節目節目で立ち止まっては検証するという作業をやってきておりますので、その意味では今段階で補助ダムについて来年度以降中止とか延期という思いがあるものは一つもございません。
 できれば11月いっぱいぐらいに、関係する市町村の方々にお集まりいただいて、状況のご説明とご意見をお伺いすると同時に、これからの国への働きかけ等について議論を深めていきたいとこのように思っております。これが補助ダムです。
 直轄のほうは少し話が違いまして、前から何回も申し上げておりますが、施工主体は国であります。その国の責任担当大臣が一度立ち止まると言っておられるのに、お付き合いして直轄負担金を納めている私どもが、推進すると一方的に言うというのはいかがなものかと思っております。
 私は直轄ダムについては一度立ち止まって、あらためての意見集約をしなければならないということを前から申し上げているところでありますが、これについても実は地元の自治体の方々の中で、もっともっと熱い想いを持っておられる方々から「そんなんじゃないんだ」とお叱りのお声もいただいているのは事実でありまして、こちらの直轄ダムの関連につきましても、まずは関係自治体の方々にお集まりをいただいて、現状のご報告とこれからどのようにやっていくかということについて、我々の考え方をご提示申し上げ、また皆様方のご意見もお伺いし、これからの意見集約ということを進めてまいりたいと思っております。
 それから、補助金カットの場合の道財政の影響、これは大きいです。財政的に大きな負担がいるからどうかという議論だけに注目するのであれば、やめた場合の財政負担の大きさと今までの過去の財政負担の大きさというものを、慎重に中立的、客観的に比較考慮する必要は当然あると思いますし、多大なる財政負担があってもやはりやらなくてはならない事業というのはあるわけで、いろいろな視点を総合的に勘案しながら、このダム問題についてもこれから考えを進めてまいりたいと思っております。
 


この文章については、重複した言葉づかい、明らかな言い直しがあったものなどを整理し、作成しています。

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