知事定例記者会見記録(平成22年2月3日)

知事定例記者会見

・日時/平成22年2月3日(水) 14:00~14:25  
・場所/記者会見室
・記者数/29名(テレビカメラ2台)

会見項目

 

知事からの話題

1 羅臼漁協所属刺し網漁船への銃撃について

記者からの質問

1 羅臼漁協所属刺し網漁船への銃撃について(領土問題への影響と今後の対応)
2 夕張市の財政再生計画に係る道の追加支援について
3 高速道路の無料化について
4  羅臼漁協所属刺し網漁船への銃撃について(道の姿勢)
5 北海道エアシステムについて
6  石川代議士の対応について

知事からの話題

 

羅臼漁協所属刺し網漁船への銃撃について

[資料:北方四島周辺水域操業船への銃撃事案の経過]
 私からは、まだ中間的なものでありますが、羅臼漁協所属刺し網漁船への銃撃の事案についてのご報告でございます。
 経緯は、ご案内のとおり、1月29日に日ロの北方四島周辺水域安全操業協定に基づき、国後島沖で操業していた、すけとうだら刺し網漁船「第五十八孝丸(たかまる)」、「第六十三清美丸(きよみまる)」の2隻が、ロシア側から照明弾を発射されたとの連絡が羅臼漁協に入りまして、翌1月30日に、第一管区海上保安本部が実況見分を行ったところ、孝丸と清美丸の2隻に銃撃を受けたような跡が発見され、今、関係者の事情聴取が進められているという現状でございます。
 安全操業出漁の船には、昨年の10月から、操業位置を監視する「VMS(衛星通信漁船管理システム)」というのが導入されており、羅臼漁協では、衛星経由で受信された当該2隻の位置情報は、協定で定められた海域に入っているということでありますが、ロシア側は、協定に定められた区域から外れた操業であると主張しており、日ロ双方に食い違いが生じているという状況です。
 こうした中で、当該2隻のVMS位置データが当日の8時30分頃から13時頃まで、4時間半程度途絶えているという事実が確認されたところであり、道といたしましても、第一管区海上保安本部と連携を取りながら、今、事実関係の把握に努めているところであります。
 事実関係の解明ということが何より重要でありますが、いずれにいたしましても、銃撃などという今回のロシア側の措置は、人命の損失につながりかねないものであり、決して許されるものではないと私どもは考えておりまして、一昨日、水産林務部長が駐札幌ロシア総領事に、その申し入れを行ったところであります。
 また今後、国に対しても、強く働きかけていく考えであります。
 私からは以上の状況のご報告でありまして、今後また新しい事実が出てきた段階で適宜皆様方にもご説明を申し上げていくことになろうかと思います。 

記者からの質問

(朝日新聞)
 2点にわたりますので、最初の質問です。羅臼の関係ですが、まず1点目が領土交渉に与える影響が現時点では詳細に実態がわかっていない中ですが、ロシア側との見解の相違が出ている以上、何らかの影響も考えられるのではと思いますが、現状として今後、現政権下できっちり早期に解決を図るというこの領土交渉に及ぼす影響というのを、知事はどのように考えるかということが一つと、それから、推移によっては、協定の枠組みというのを崩しかねない事態だということも考えられるわけですが、今後、先ほど知事が言われておりましたVMSの精度といいますか、監視体制のあり方について、今日も若干道議会で議論がありましたが、今後、そのVMSは道が強く指導してきた経緯もあるというふうに聞いていますが、その辺、今後の監視のあり方についてどのように現時点で対応していくおつもりなのかをお伺いします。

(知事)
 1点目、領土交渉への影響ということでございますけれども、まずはこういう協定があり、そして、今回のような事案が起こってしまった大きな背景事情は、領土問題が解決していないということによるわけであります。
 協定の位置付けなり中身というのは、まさに、誰かが言ったガラス細工のようなということもあろうかと思いますが、それぞれの主権に影響を与えない形で、それでも近隣の漁師の方々が生計を立てていくために、ぎりぎり双方で話し合って、ここまでだったら何とかできるということで、協定を結んだものに沿ってやっている安全操業であります。
 その背景には、まさに領土問題が戦後六十何年も経ていながら解決をしていないという根本原因がありますので、その領土交渉に今回の事案が影響を与えるとすれば、やはり領土交渉、領土問題の解決を早期に図っていかなければならないという方向に国民世論は高まっていくでしょうし、そういったことになっていくのかなと今段階では思う次第です。
 ロシア側の議論はまたあるかもしれませんが、いずれにしましても、何より重要なのは事実関係の解明だと思っておりまして、地元の漁協あるいは出漁された漁師の方々は、安全操業のエリア内だと言っておられますし、また、今の空白の4時間半を含めて、そうではないのではないかという、いろいろな事実の可能性が少し出てきました。あと、ロシア側は明らかにそのエリアを越えたと言っており、ここらあたりの双方の主張の違い、あるいは新しい事実もありますので、こういった中でまずは、事実関係の解明が何よりも重要かと、私自身は思います。
 そしてその上で、この協定そのものについて、おっしゃるような監視体制について、私どもは、地元の漁協の方々ともご相談をし、このVMSの導入で万全を期すことができるという認識を持ってやっていたわけですが、今回の事案の事実関係の中でこういったことに万が一でも不備が明らかになったとすれば、そこをいかに除去することができるのか、漁師の方々の人命をしっかりと守りながら、安全に操業するという体制をいかに守っていくかということについて、我々道、国、そして地元の漁協の方々との議論というのは、これから不可欠になってくるのではないかと思う次第です。
 いずれにしましても、まずは事実関係の解明が急がれるという現状だと思っております。


(朝日新聞) 
 もう一つありますが、夕張の支援の関係なのですが、昨日、知事は夕張市長とお会いしまして、道の支援を具体的に説明されていましたが、あらためて伺いますが、思い切った前例にこだわらない支援策をということで、前々回の会見でもおっしゃってまして、ただ、つぶさに中身を見ると、その再生団体を脱却するための形を整えるといったら失礼なのですけれども、その体裁を整える支援にとどまっているのではないかというふうに思うわけです。
 つまり、道がきちんとした手持ちの資金をある程度投入して、夕張を支援するのだというお考えに至らなかったというか、そういう判断をしなかった理由なんかをお聞かせいただければと思うのですが。つまり、その制度上いじくって形を整えているようにも見えなくはないのですが。その辺、あらためて道の支援策はどのような性格だというふうに、ご自身お考えになるかどうか、そこを伺います。

(知事)
 形を整えるという意味がちょっとよくわかりません。結局はこれから10年なり15年なり、今の素案では19年という期間に、トータルとしてこれだけの金額を返済していくという、トータルの金額をいかに減らしていくかということがまさに支援だと思っておりまして、そのやり方として、もちろん現金で何百億円を支出するというのも一つの支援でしょうし、また、トータルとして、夕張市が返済として計上しておられるものにいろいろな制度的な特例措置を設けることによって、債務の残高を減らしていくというのは、私は、効果としては一緒だと思っております。
 その意味では、いずれにいたしましても、昨日も夕張市長に申し上げたのですが、自助努力で19年の返済まで短縮をしてこられた夕張市の新しい法律に基づく再生期間を1年でも短くしていくために、我々道として何ができるかについて、我々として検討した結果、この1定議会(第1回北海道議会定例会)に提案をしようというものについてご説明に行きまして、加えて何ができるかということは、さらにこの4月以降、10年以上の再生計画期間があるわけですので、この3月いっぱいにすべての支援策を終えなければ、もう後は何もないということではないので、この先も見通して、さらに知恵を出すようにと担当者には指示をしているところでございます。
 それともう一つ申し上げるとすれば、夕張市は年間の財政規模との関係において、けた違いに債務残高が多いという事実はありますが、そこまでいかない健全化団体というのでしょうか、財政が大変厳しい自治体というのは道内に多々ありまして、そういった団体に対する道からの支援ということとのバランスにおいて、別の言葉でいえば、そういった道内の他の自治体のご理解もいただけるという範囲内で、私どもとしてできることを考えたのが、今回ご提示を申し上げた振興基金に係る条例の改正の考え方であるとご説明申し上げてもいいかと思います。


(STV)
  高速道路の無料化についてだったんですが、昨日発表がありまして、知事のほうから見て、道内ですね、無料化に関してどのような期待を持たれていらっしゃるのか、もう一つ、観光ですとかその辺ですね、地域活性化にどのような期待があるのかその辺をお聞かせいただければと思います。

(知事)
 期待の声と不満の声と、まだら模様ですね。
 まず、今回の無料化というのは社会実験と銘打っておられるだけあって、全体像としての民主党さんのマニフェストに掲げられた高速道路無料化をとりあえず部分的にやって、その結果が出てからまた次の方向性を検討しようという、そういう試みであると私は理解をいたしております。
 だからこそ、道内の場合には総延長の半分ですから、結構ウエイトは大きいかと思いますけれども、それでも全線ではない形での今回の無料化の実施ということではないかなと思っております。
 その一部分というか、半分の無料化でも、観光地からは賛成という声、消費者の方々、ドライバーの方々からも賛成という声が大きく出てきていると同時に、バス業界、JRは全国の各社連名の社長名で反対と言っておられるのでしたか。それからトラック業界、物流を担っておられる運輸業界の方々でも賛成という声と、渋滞等を懸念する声など、本当にいろいろな声が出てきていますよね。
 だからこそ、今回こうやって期間を決めて、社会実験をされた上で、その結果をしっかり検証していただき、政権として、その後の本格的な無料化の実施をされるのか、それともむしろその検証結果がマイナスのほうが大きいということになれば、そういう方向性への転換も考えられるかとも思います。
 いずれにいたしましても、社会実験としてのそういった位置付けという考え方の下に実施されると私は理解をして、そのようにしていただきたいと思っております。
 また加えて、今回の無料化の社会実験にあたっては、国において事前にその進め方など十分な情報提供というものを地域地域にしっかりとやっていただきたいというのが一つ。 それから二つ目は、一部高速道路やIC(インターチェンジ)、それは地理的に一部であると同時に、期間的には、例えばゴールデンウィークの時期とか週末とかに、そういう渋滞が相当深刻になるような状況も想定されますので、そういったことについての十分な交通情報の提供ということもぜひお願いを申し上げたいと思います。
 それから三つ目は、これはJRなりバス業界の方が言っておられる他の交通機関が減収となった場合の対応を求める声も大きいわけでありまして、そういったことには十分に配慮していただきながら、今回の無料化の社会実験をやっていただきたいと、その上でその結果を検証して次のステップにつなげていただきたいと思っております。


(uhb)
 冒頭にありましたロシアの銃撃の関係なんですけれども、今ちょっと不可解な状況というか、空白時間があったり銃弾の補修跡があったりということで、今まで道として抗議の立場ということで行動をおこされてきたと思うんですけれども、仮に漁船側のほうに非があった場合、この抗議という立場を覆す、あるいは一定程度釈明をするということでの、仮の話ではあるんですけれども、そういった事実が明らかになった場合に、立場をきちんと表明するお考えはあるかどうかということが一つ。
 それと、全く話が変わりますが、HAC(北海道エアシステム)の関係なんですけれども、HACに関して先日道庁に担当者の方が訪れて説明にあがったと思うんですけれども、それについての、技術支援だとかいろいろお話があったことへの受け止めを一つと、株の譲渡について道とか市町村のほうへもお願いしたいということで向こうのほうからありましたが、道として、株の譲渡先についての対応をどうされるのか、これについてお聞かせいただけますでしょうか。

(知事)
 まず、羅臼漁協の漁船への銃撃の件でありますが、私どもとしては事実関係の究明が重要だと先ほど何回も申しましたが、そのことはそのこととして、道民の人命の損失にもつながりかねないような銃撃でありますので、そのことはいかなる理由があろうとも決して許されることはできないのではないかと思っております。そこはしっかりとそのような認識でございます。
 ただ、一方でもちろん事実関係の究明が重要ですし、そうでないと今後の安全操業についての私どもの方針もしっかり示すことができませんので、そういったことはそういったこととして、やはり今回の銃撃等の措置というのは道民の命に関わる問題でありますので、そのことについては、いかなる理由があろうとも私どもとしては許されないのではないかと、このような思いは変わっておりません。
 それから二つ目のHACの問題でありますけれども、経緯はご案内のとおりで、去年の後半からいろいろな話があって、年が明けて再生の手続きがスタートした後、29日にJALの幹部の方が道庁に来られて、副知事に対して申し入れをされました。中身は今おっしゃったとおり、持ち株比率の15%未満への引き下げということと、必要な技術支援は行っていくという二つのご提案でございました。
 前者の話は、今まで私どもは再考ということも言っていたわけでありますが、法的再生という方向性をJAL本体として決められて、そういった中においてこのことがもうビルトインされて(組み込まれて)いるというお話もございましたので、これは受け入れざるを得ないかなという判断を一つしたわけであります。
 その上で、私どもとしては引き続き必要な技術支援等は行うというJALの申し入れを踏まえて、新たな株の譲渡先等の見極め、あるいはこれからどういう形でHACの運航体制、経営体制をやっていくのかということについての見極め、こういうことを早急にやっていかなければならないと思っております。
 29日のJALの幹部の方の申し入れの際には、JAL自身も自社の持ち株の譲渡先を見つける努力を惜しまないというお話もあったようですので、道とも連携をしながらそういったことをやっていきたいと思っております。
 まだ、その中身について皆様方にご報告できる段階にはなっていないわけですが、JALは今年の夏から秋にかけて認可される会社更生計画の中に、新たなHACの運航体制を位置づけたいということを言っておられますので、それまでにはしっかりと考えていかなければならないと思います。
 一方で7月、A-net(エアーニッポンネットワーク)の千歳集約ということが、もう決まっておりますので、そういったことを考えますと、今、HACは、一生懸命財務体質のチェック等をやっておりますけれども、そういった作業も含め、次の体制に向けての検討を加速度的にやっていきたいと思っております。


(uhb)
 道11区選出の石川知裕議員が明日拘留満期を迎えるということで、これも仮の話で恐縮なんですけれども、政治とカネの問題で起訴ということになれば、非常に深刻な、重大な問題だとは思うのですけれども、職を辞して責任をとる、あるいは国会議員を続けて、国民あるいは有権者に説明する、いろいろな対応があるかと思うのですが、一政治家として知事はどのような対応が望ましいと考えられるかお伺いできればと思います。

(知事)  
 難しい問題ですね。まずは、捜査の状況を見極めていかなければならないという以上のことは申し上げられないのでありますが、政治家としてどういう形で社会的な責任をとっていくかというのは、いろいろな対応の仕方があろうかと思います。そういう中で、これはやはりご自身がお決めになることではないかと思うというのが私の結論です。
 石川代議士が逮捕された後、いろいろな所で私も感想を求められましたけれども、大変まじめそうな青年でいらっしゃって、自分でご存知のことを全て包み隠さず説明されることが重要であろうということも私自身申し上げてきたところでありますが、その後、例えば起訴になった場合の政治家としての責任の取り方、これはやはりご本人がしっかりと熟考された上で、ご決定されるべき性格のものであると、私自身はそのように思います。
 


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