知事定例記者会見記録(平成24年9月7日)

知事定例記者会見

・日時/平成24年9月7日(金)14:00~14:26  
・場所/記者会見室
 ・記者数/31名(テレビカメラ1台)

会見項目

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知事からの話題

1 秋のヒグマ注意特別期間について
2 秋の全国交通安全運動について

記者からの質問

1 米国産牛肉の輸入規制緩和について
2 北海道新幹線について
3 北海道新幹線並行在来線対策について
4 東郷ダムについて
5 エネルギー政策について
6 原子力発電所について

知事からの話題

 

秋のヒグマ注意特別期間について

〔配付資料:秋のヒグマ注意特別期間〕
 それでは、私からは2点お話をさせていただきます。 
 1点目は、秋のヒグマ注意特別期間についてです。配付資料が1枚ございます。「野山に入るときはヒグマと遭遇を避けるため」と書いてありますが、今は野山に入らなくてもヒグマと街中で遭遇するというニュースなどもあります。
 秋の行楽シーズンを迎え、道民の皆様や観光で本道を訪れた方々が、キノコ狩りや紅葉狩りなどのため、野山に入ることが多くなり、また、先月から今も申しました札幌市内においても頻繁にヒグマが目撃されているところでして、人身被害なども懸念されるところです。
 このため道では、9月8日から10月31日までを秋のヒグマ注意特別期間として、市町村や関係機関と協力をしながら広く道民の皆様方などへの注意喚起を行っていく予定です。
 具体的な呼び掛け内容としては、ヒグマによる人身被害を防止するため、ヒグマの出没状況の確認をし、危険な場所には近寄らないこと、それからクマよけの鈴など音の出るものを携帯すること、また、早朝や夕方など、薄暗いときには行動しないこと、さらには、野山では単独行動を避け複数で行動することなどの基本的な注意事項を守り、ヒグマと遭遇しないよう十分に注意をしていただきたいと思います。
 また、森林に接した市街地におきましては、ヒグマ出没や餌付けを防ぐため、ゴミ出しのルールを守ること、ゴミやペットフード、保存食などを屋外に放置しないこと、それから家庭菜園の作物や果実を早めに収穫すること、さらには家の周囲の草刈りをすることなど、ヒグマを人里に引き寄せないための対策にも地域ぐるみで取り組まれるようお願いを申し上げたいと思っております。
 これが1点です。

秋の全国交通安全運動について

〔配付資料1:交通事故概況等について〕
〔配付資料2:平成24年 秋の全国交通安全運動〕
 もう1点は、秋の全国交通安全運動についてです。
 今年の道内における交通死亡事故の発生状況は、昨日段階で122名と昨年に比べ同時期として12名の増加となっているところです。
 特に先月は、札幌でワゴン車が電柱に激突し、3名の方がお亡くなりになるという大きな事故がございました。そういったことをはじめとして、先月は30名の尊い命が犠牲になっていまして、大変危機感を持っております。
 また、これからの時期、北海道は農作物などの収穫や秋の行楽期を迎えまして、交通量が増加すること、加えて日ごと日没が早まることなどから、歩行者事故などの多発が懸念されております。
 こうした状況を踏まえまして、道としましても警察などの関係機関の皆様方と連携をして、道民の皆様への交通安全の呼び掛けを行っているところでして、9月21日から30日までの10日間は、秋の全国交通安全運動を展開することとしております。
 重点は、子どもと高齢者の交通事故防止など5項目です。そして、道民の皆様方には、車を運転されるときには、スピードダウン、全席シートベルト着用など。それから歩行者の皆様方には、道路を横断するときは横断歩道を利用するとともに、必ず左右の安全確認を行うこと、特にお年寄りの方は夕暮れや夜間は夜光反射材など目立つものを身に着けること、それから自転車利用の皆様方には、当たり前ですが信号を守る、それから一時停止の場所では、必ず一旦停止して左右を確認するなど交通ルールを守っていただき、悲惨な交通事故の防止に努めていただきたいと思います。
 マスコミの方々からも道民の皆様方へのお声掛けをよろしくお願いいたします。

 

記者からの質問

(北海道新聞)
 BSE(牛海綿状脳症)の関連の質問を聞かせていただきたいと思います。先日、内閣府の食品安全委員会が開かれまして、海外からの輸入ですとか、危険部位の除去の関連で規制緩和の方針が出されました。特に国内産の牛の検査対象が21カ月以上から31カ月以上に引き上げられるということで、畜産王国の道内でも影響が大きいと思われます。そこで今回の(食品安全委員会プリオン専門調査会が取りまとめた)評価書案を知事はどのように評価しているか。あと、道が現在独自に行っております自主検査の扱いについて今後どのようにするお考えであるか、お聞かせいただきたいと思います。

(知事)
 BSEの問題について、内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会が昨年12月の厚労省からの諮問に対して議論をし、この9月5日に評価書案を取りまとめたという状況だと認識をしております。
 その中に、今おっしゃったような規制緩和の方向性が盛り込まれているようでして、これからパブコメ(パブリックコメント)とかいろいろなプロセスを経て、厚労省への答申という流れになってくるのかなというふうに思っております。最近、あまりこの問題は、ニュース(話題)にはなっていなかったのですけれども、輸入牛肉につきましては、脊柱などの特定危険部位が混載されていた事例などの輸入条件の違反例も見られたところでして、私個人としてはやはりこういう規制緩和というか輸入条件の緩和ということについては、やや、やはり懸念をしているというのは正直に言わざるを得ないというふうに思う次第です。
 国内では全頭検査ということで、道も独自にやらせていただいているわけでして、来週からは議会(平成24年第3回北海道議会定例会)も始まりますので、議会でのご議論なり道民各界各層のご議論なり、それから他の自治体の動きなり、いろいろ見極めていかなければならない。それから日本国全体としての世論の動きなり、いろいろ見極めていかなければならないことはたくさんありますけれども、今の私どもが実施をしております全頭検査の形のまま続けるとすると、国のほうが今まとめられているような規制緩和の方向性である場合には、確か御社の記事にも書いておられましたが、(検査費用については)道の実質的な負担増ということも想定されるわけですので、そのことがまた道民理解を、財政が厳しい中で受けられるかといういろいろな観点から、皆様方のご意見を注視しながら方向性を出していかなければならない、このように思っておりまして、今段階で何らかの私個人として強い方向性を持っている状況ではございません。


(北海道新聞)
 午前中の新幹線の並行在来線対策協議会のことでお聞きいたします。その中で知事が工期短縮のことで、ほかの首長さんからのお話に対して、もう少し早くと。例えば十数年というようなお話をされていたかと思うのですが、これまで知事、例えば起工式や何かではそこまで具体的な年限というところまではおっしゃっていなかったように思うのですが、今回このようにできれば十数年というふうにおっしゃった知事の中で、何か具体的なお考えがもしあるのであればお聞かせいただけますでしょうか。

(知事)
 結論から言うと、何もありません。今日、沿線自治体の皆様方との議論の中でも、森町の町長さんが、工期短縮をしたほうが経済効果が早く出るというお話があって、それに賛同の意を示すというような意味で発言をさせていただいたわけで、もとよりそのことの実現を今の国と地方の分担のスキームの現状のまま行うとすれば、道負担が増えて、そのことは道民の理解を得られないという思いは全く変わっておりませんので、やはり知恵を出しながらこのことにあたっていくという基本スタンスは何ら変わっておりません。


(NHK)
 今、並行在来線のお話が出たので追加でお伺いしたいのですけれども、実際に今日、15の市と町の市長、町長が参加されて、おそらく各自治体の事情によって、意見もさまざまだなと知事も受け止められていると思いますけれども、あらためて現状をどういうふうに認識されているかということと、250キロ以上(函館線・函館‐小樽間)に及ぶ、営業キロでいうと、区間の意見をまとめるというのもすごく大変な作業だと思うのですけれども、その分、道の力量も問われてくると思うのですが、そのあたりどのように考えているか教えてください。

(知事) 
 今日、15の基礎自治体のトップの方々、あるいは代理の方々にお集まりを頂いて、並行在来線問題を検討する協議会の立ち上げをさせていただいたところです。このことは去年の12月に、実質的に道内の沿線自治体から、(並行在来線の経営分離の)了解の内諾を頂いた時に、新幹線の正式な着工認可が出れば、できる限り早期にこういった協議会を立ち上げたいということを道民の皆様方にお約束を申し上げていたことを実行させていただいたという位置付けです。
 この場でいろいろな議論を深めていくわけですけれども、210キロ(北海道新幹線・新函館(仮称)‐札幌間)、今ご質問の中でもお触れになられたとおり、整備新幹線の一括認可では最長の距離でして、渡島管内と後志管内ではまたいろいろと事情も違うであろうということで、ブロックごとの分科会のようなものを設けて、さらに議論を詰めていくというそういう形も含めて、今日出席の各自治体の皆様方のご了解を得たところです。
 私どもがやはりまず、行わなければならないのは、並行在来線あるいはそれに代わる代替の住民の方々の足の確保というようなことを議論する前提認識として、これから20年後なのか、あるいは先ほどのご質問にもございました新幹線の工期の短縮ということをお願いをしていくとすれば、その何年後か、X年後まで見通したわれわれ北海道の中におけるこのエリアにおける人口の動態的な見通しというものをまず立てていかなければならない。そういったことを踏まえて、沿線の自治体、それぞれの地域における、どれくらいの住民の方々が足というものの、鉄路というものに対する需要を持っておられるかなど、やはり詳細な調査というものをこれからやっていくということも、皆様方のご了解を得たわけですので、こういった客観的なデータというものをお示しをし、それについてまず、皆様方、もちろん道も含めての基本認識の共有を図った上で、ではそういった中で住民の方々の足の確保というものをどのように考えていくのか、当然国の支援というものも見込めるわけですが、われわれ地元の負担というものも当然ありますので、そのあたりを見極めながら、皆様方で議論を深め合意した、そういった内容で今後の住民の方々の足というものをしっかり考えていかなければならない、知恵を出していかなければならない、そんなふうに考えているところです。


(北海道新聞)
 富良野市の国営農業用ダム、「東郷ダム」についてお尋ねします。(国土交通省北海道)開発局が貯水量を430万トンから18万トンに大幅に縮小するという案を出しておりますけれども、既に開発局から今、いろいろな過去の経緯などについて説明されていると思いますが、今回のこの計画の妥当性について、あらためて今後の道の対応についてお聞かせください。

(知事)
 正直、ちょっと悩んでいるのですよね。
 昨日でしたか。某テレビ局のニュースをたまたま見ていたら、この件の特集をやっておられて、私の半年以上前の映像が出て「慎重に対応」と言っているのが、自分自身でそういえばああいうことを言ったなというのを思い出していたのですが、この東郷ダム、今の状況になってもう20年以上ですか。平成5年でしたか、水漏れが見つかって。20年というのは、すごい年月でありまして、先般トヨタ自動車北海道20周年記念式典に出席してまいりましたけれども、その年に生まれた赤ちゃんがもう成人式を迎え大人になるぐらいの長い期間、ああでもない、こうでもない、いろんな議論はあったのでしょうが放置されてきた東郷ダムでして、その意味では全国的にも有名になっている状況かなというふうに思っております。
 その扱いについてあらためて国のほうからご提案というか、計画の提示があって、それに対して地元として、これは地元の市町村の対応もございますし、道も地元としてどのようにお応えをしていくかというのが今、置かれている状況だと認識をしております。
 担当部(農政部)とも議論をしているのですが、まずは、20年間ですよね。その前、東郷ダムを計画したのは、40年前。そうすると、その当時想定した当該エリアの水の需要量というものと、今、あるいはこれから少し先に向けての水の必要量というものが、全く変化がないと言えるのかどうか。まずここからどれくらい本当に水が必要なのかと、農業においてですね。そこをやはり精査していくところから始めないと、というふうに私は理解をしております。
 それを精査することによって、東郷ダムが40年前に必要とした水量が妥当なのかどうか、そして今回あらためてご提案を頂いております、その(東郷ダムの)一部だけ利用するという案だと理解しておりますが、それも必要なのかどうかというそもそもの東郷ダムの必要性ということの議論、これをやはり地元、そして地域の自治体の方々も巻き込んで、しっかりとやっていかなければならないのかなというふうに思うのですね。
 それと同時に、これまでも、国も無駄な予算とまで言うのは角が立つとしても、相当の巨額な予算を国費としてここに投入している。そして道費も投入されている。いずれも道民、あるいは日本国民の税金から支払われていたものでして、その反省もありますが、これから整備をさらにしていくという国からのご提示の中でも地元負担というのが一定額想定されていて、そのことを負担することについて道民の皆様方の理解が得られるかどうかという、地元負担の在り方についての議論というものもあろうかと思います。
 それからもう一つ重要なのは、出来上がるまでは、国の直轄事業だからそんなに地元負担はないにしても、出来上がった後の維持管理。これも国からご提示があるようですけれども、その考え方でいいのかどうか。私は担当部局から聞いた時に、これはあまりにひどいのではないかと、ファーストリアクションとして少し申し上げたのですけれども、この完成した後の維持管理の費用についての地元負担の在り方などについての議論ということをひっくるめて、やはりしっかりとここで立ち止まって議論をしませんと、私どもとしてはいけないかなというふうに思っているところです。
 来週から道議会も始まりますので、そこでも道民の代表の議員の皆様方との論議も闘わせながら、道としての考え方をまとめていきたいと、このように考えております。


(時事通信)
 民主党がですね、エネルギーにおける原発依存度のですね、関連でですね、2030年代に原発稼働をゼロにするという努力目標として、これをまとめまして、またこの中に、原発の再稼働や廃炉の考え方についても盛り込まれているようですが、これを踏まえて来週にも政府の新しいエネルギー・環境戦略、これが決定されると、そのように報道されています。知事のお考えを伺いたいのですが。

(知事)
 民主党の中で、さまざまな方々の意見の集約として、そういう方向性を出されたということだと理解をしております。
 ただ、例の「近いうちに」、「近いうちに解散総選挙」という今の時点ですので、まさにこの原子力政策をはじめとするエネルギー政策も総選挙の一つの争点となりますので、今ここで政権与党たる民主党が一定の方向性をまとめられたということ自体、一つの流れではあるのでしょうけれども、それだけ取り上げてコメントするというのは、今の段階ではどうかなというふうに思う次第です。
 この原子力発電への依存度をどのように持っていくかということについては、いろいろな議論がございます。国民的な議論を政府として展開されたというふうに言われておりまして、その中で過半を超えるという表現だったかな、国民の方々が原発ゼロという社会を望んでいるという結果が出たというふうな、そういったことだと理解をいたしておりまして、福島第一原発の事故の大きな影響を、いまだにその収束の方向性すら見いだせていない状況の中での国民感情としては、素直な形が出てきているのかなというふうに思う次第です。
 また北海道は、ご承知のとおりエネルギー政策の基本条例(北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例)の中で、「脱原発の視点に立って」というその文言を前文にうたっている全国唯一の都道府県ですので、そういった立場に立った議論というのは、私どもとしてもそのような形として、一つ理解をするところはありますけれども、ただこれからその場合の国民生活への影響であるとか、それからその時間軸をどこに設定をして原発ゼロを目指していくのか。再生可能エネルギー、われわれも一生懸命導入促進を進めておりますけれども、そういったことがどれくらいのタイミングで現実性を持って見通すことができるのかなど、いろいろな課題を乗り越えた上で、もう少しかっちりとした議論を国においてもしていただければなというふうに思っております。


(共同通信)
 引き続いて、原発の安全性の関係で1点伺います。先日ですね、(原子力安全・)保安院が泊原発の1、2号機のストレステストの1次評価の結果について審査結果を取りまとめたというふうに報道されています。一方で評価そのものについては、妥当であるうんぬんという評価はせずに、いわば丸投げをしたような状態となっています。この一連の経過について、一つ節目だとは思うんですけれども、どのように受け止めて、どのように評価していらっしゃるのか。今後、新たな規制組織に議論が委ねられるということになるんですが、そこに対しての注文、ご意見があればお聞かせください。

(知事)
 保安院として、泊原発1、2号機について今おっしゃったとおり、一定の評価をした上で最終評価というところは、9月、9月と言えばもう9月ですね。近いうちに発足すると言われている新たな原子力規制組織に委ねるというところで、この泊の1、2号機についての判断はクローズしたという現状だと認識をいたしております。
 耐震性の問題であるとか、その他、北電(北海道電力)の原発の安全対策についても、今整備中というさまざまな状況の中で、やはり時間切れということを保安院として判断されたのかなというふうに思いますので、それ自身を丸投げとか責任回避とかそこまで言うつもりはありません。むしろ私は前からこの記者会見の場でも申し上げておりますけれども、新たなる原子力安全規制の組織、委員会も含めて、これは本来、今年度初頭からスタートするというふうにわれわれずっと聞いていたものが、遅れ遅れて9月というものもいまだにその形すら見えないという現状、これは大変由々しきことだと思っていまして、例の特例公債法案と同じように、この原子力の新たな組織の人事案なども政争に巻き込まれているのですかね。それは、一国民として、あるいは原発立地道県としても、大変由々しき事態だと思っております。 
 原発は、稼働するしないは別としても、存在するだけでさまざまな安全性の確保ということが不可欠のものですので、できる限り早期に新しい原子力規制委員会を含めた組織を立ち上げていただき、そこでしっかりとした審査をしていただきたいと、このように思っているところです。


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