知事定例記者会見(令和3年9月3日)

知事定例記者会見

  • 日時/令和3年9月3日(金)14:30~15:20
  • 場所/記者会見室
  • 記者数/20名(テレビカメラ2台)

記者会見風景

知事の画像

会見項目

知事からの話題

  1. 新型コロナウイルス感染症対策について
  2. 胆振東部地震の発生から3年を迎えるに当たって
  3. ヒグマ事故の防止について

記者からの質問

  1. 新型コロナウイルス感染症対策について(1)
  2. 新型コロナウイルス感染症対策について(2)
  3. 新型コロナウイルス感染症対策について(3)
  4. 新型コロナウイルス感染症対策について(4)
  5. 菅総理の自民党総裁選不出馬について(1)
  6. 菅総理の自民党総裁選不出馬について(2)
  7. 東京2020オリンピック・パラリンピックについて
  8. 胆振東部地震の発生から3年を迎えるに当たって
  9. 菅総理の自民党総裁選不出馬について(3)
  10. ヒグマ事故の防止について
  11. 菅総理の自民党総裁選不出馬について(4)

知事からの話題

新型コロナウイルス感染症対策について

 私から三点、話題をお話させていただきたいと思います。
 まず一点目でございますが、新型コロナウイルス感染症についてであります。
 北海道が緊急事態宣言の対象となってから約1週間が経過いたしました。この間の状況について四つの視点で皆さんにご説明したいと思います。
 まず、感染状況でございます。感染状況については、新規感染者数が7月上旬から増加してまいりましたけれども、現在、減少の動きが見られます。これは道民の皆さま、事業者の方々のご理解、ご協力によるものでございます。心から感謝申し上げます。しかしながら、依然として300人を超える日が続いています。人口当たりの新規感染者数は緊急事態宣言の目安の約2倍という水準になっています。引き続き、厳しい感染状況が続いています。
 また、入院の状況ですが、入院患者数も869人という状況になっています。重症者の方もここ数日で増加いたしまして、25人という状況になっています。これまでの感染拡大時の経験からも、新規感染者数が増えて、遅れて入院(者数)が増えて、その後、重症の方が増えるという状況で、医療提供体制に負荷が見られる状況にございます。医療提供体制についても厳しい状況が続いております。また、全国では過去最多の感染者数の水準が続いている状況があります。デルタ株にほぼ置き換わった状況の中で、夏休みのシーズンも終わって、社会経済活動が活発化してくる状況にありますので、引き続き、最大限の警戒が必要であります。感染者数を再び増加させないように、道民の皆さまには今一度、人と人との接触を減らしていただくことをお願いいたします。引き続き、外出はできる限り控えていただくということ。例えば、これまでの半分以下にするということで、お一人お一人の皆さまの行動変容をあらためてお願いしたいと思います。特に若年層での感染の広がりを警戒しなければならないと考えています。8月の学校関連の集団感染の人数は過去最多という状況になっています。新学期が始まる中で、ここからさらに拡大していくことを防いでいかなければならない状況にあります。このため、道教委(道教育委員会)を中心に、感染確認した場合、迅速かつ幅広に休業措置、そして検査を実施する。部活動は全国、全道大会に直結するものに限るといった対策に取り組んでおります。引き続き、地域と連携して学校での感染対策の徹底を図ってまいります。
 三つ目が療養者の方の数。これも引き続き高い水準になっています。このことに注意が必要です。現在、4145人という状況になっています。これは緊急事態宣言の目安の約2.6倍という療養者の状況になっています。このうち入院患者数は、札幌市では病床使用率が緊急事態宣言の目安を超える状況になっています。療養者の皆さまへの対応が極めて重要になってきます。このため道として、利便性が高い札幌市内の中心部にあります、ホテルフォルツァ札幌駅前を臨時医療施設といたしまして、9月10日から実際に受け入れを開始します。14床の医療機能を有しまして、この機能を活用して新たに中和抗体薬の治療、抗体カクテル療法を開始します。点滴、酸素投与、処方箋の発行、こういったものも実施して、軽症の方が重症化しないように体制を整えてまいります。
 ワクチン接種、また自宅療養者の方の健康観察の拡大などによりまして、看護師の皆さまに対する需要が高まっています。宿泊療養施設においても、看護師の皆さまに重要な役割を担っていただいております。宿泊療養施設での業務をしていただける看護師の皆さまについて、今後、宿泊療養施設などをさらに充実強化していく観点から、事前登録制度を開始することとします。札幌市をはじめ、全道各都市の宿泊療養施設での勤務において、一定の要件を満たした方に対しましては、登録協力金5万円を支給いたします。9月6日から募集を開始させていただきます。詳しくは道のホームページをご覧いただきたいと思います。
 そして四つ目、ワクチン接種であります。ワクチン接種を加速していかなければなりません。ワクチンは発症予防、重症化予防、感染予防、こういった効果が期待されています。
実際に、ワクチン接種が進んだ60代以上の割合は大きく減少しています。この棒グラフ(モニター)は、60代以上の新規感染者数、青い折れ線がその割合という状況になっています。前回のピークがこの高さだったのですね。接種の割合が、これが1回目、これが2回目ですけれども、ぐっと増えていっています。今60代以上では2回目も80パーセント近くまでいっているのですけれども、ご覧のとおり、感染者のピークも大きく減少しています。その他の世代につきましても、接種が進んできております。現在、道民の皆さまの半数近くが、1回の接種を終えた状況になっています。実際に接種されている方はもっと多いと思いますけれども、システムに入力されている数で見ますと、こういう状況になっているということです。ただし、ワクチンの接種をしていただいても、発症予防効果は100パーセントではないことにご注意いただく必要があります。ワクチンの接種と適切な感染防止行動を組み合わせて、感染拡大を抑制していくことが重要であります。ワクチンを接種した方も含めまして、引き続き感染防止行動を徹底していただくようにお願いいたします。なお、現在国において、ワクチン接種が進んだ後の社会経済活動の制限の緩和について検討が進められています。道としては、引き続き市町村の支援を行い、希望される方が1日も早く接種できるように、しっかりと取り組んでまいります。
 最後になりますけれども、緊急事態宣言から約1週間という状況になっています。本当に皆さまのお力添えによりまして、新規感染者数は減少の動きが見られるわけでありますが、先ほど申し上げたように、依然として厳しい状況が続いております。新規感染者数の減少の動きを確実なものとしていかなければなりませんし、感染をしっかり抑制させていくために、緊急事態宣言は9月12日までの期間の措置になっています。12日までの間、緊急事態措置の下で、人と人との接触を抑えていく、低減させていくことについて、引き続き皆さまにはご協力をお願い申し上げます。
 これが一点目になります。

胆振東部地震の発生から3年を迎えるに当たって

 二点目でございますが、(平成30年)9月6日に発生しました北海道胆振東部地震から3年を迎えようとしています。地震でお亡くなりになった44名の方々に心から哀悼の意を表しますとともに、ご家族やご親族を失われたご遺族の方々にお悔やみを申し上げます。
 被災地域では、関係の方々のたゆまぬ努力の下で、水道、道路などのインフラ、農地、林道などの復旧・復興に向けた取り組みが着実に進んでおります。被災前の暮らしを徐々に取り戻しつつあるというところでございます。その一方で、大規模に崩壊した森林の再生などについては、今後も継続した取り組みが必要であります。また、被災地域の皆さまが体験されました深い悲しみや大きな困難、こうした経験や記憶を次の世代に伝えていくことも必要でございます。
 私としては、引き続き、被災地域の皆さまの不安、課題を丁寧に受け止め、国や関係機関と連携を図りながら、地域に寄り添った取り組みを進めてまいります。

ヒグマ事故の防止について

 今年度は、ヒグマによります人身事故が多発しまして、3名の方がお亡くなりになるなど、過去最多となる11名の方が被害に遭われています。また、一昨日未明になりますけれども、札幌市南区の市街地で、親子とみられるヒグマが目撃されています。札幌市内でも南区や西区を中心に出没が相次いでいる状況にあります。特にこれからの時期は、冬眠に備えてヒグマの活動が活発となり、そのことによって、過去の状況を見ますと、人身事故も多く発生する状況にあります。いつにも増して、皆さまにはヒグマにご注意いただく必要があります。
 このため、道では、ヒグマによる事故を防止するために、9月4日土曜日から10月31日日曜日までを「秋のヒグマ注意特別期間」と定めさせていただきまして、ホームページやリーフレット、新たにツイッターなどを活用させていただいて、注意喚起を行ってまいります。現在、できる限り外出を控えていただくとということで、皆さまにはご協力いただいておりますが、北海道におきましては、市街地にあってもヒグマに遭遇するおそれがあることから、事故を防止するために、市町村などのホームページで情報を確認していただきまして、ヒグマの出没情報のある場所には近づかないことや、食べ物ですとかゴミは必ず持ち帰っていただく、一人で野山には入らない、野山では必ずクマ鈴や笛や声など音を出しながら歩くなど、ヒグマに出遭わないためにご注意いただく。自らと、大切な方の命を守っていただくために、道民の皆さまにご協力をお願い申し上げます。
 話題は以上でございます。

記者からの質問

(北海道新聞)
 一点だけお聞きします。先ほど知事のご説明にもあったように、最近ここ1週間余りですね、新規感染者数が減少傾向にありまして、今の緊急事態宣言、来週末の12日が期限となるわけなのですけれども、まだ10日近く、それまである中でですね、今後の状況次第かなとは思うのですけれども、このペースでいけば宣言に伴う措置というのを解除して、まん延防止等重点措置、こちらに移行する方向になっていくのかというお考えなのかという点が一つ。これは国の判断になるのであれですけれど、知事自身、先般、要請等もされていますので、そういった観点からお聞きしたいのと、またその際には、札幌市とか酒類提供を停止状態、休業要請をしていますけれども、それを(午後)7時まで可能にするなど、一部解除するということもあり得るのか、今後のそういった宣言に伴う措置に関する見通しについて教えてください。

(知事)
 今、ご質問の中にありましたけれども、冒頭申し上げさせていただきましたように、確かに減少傾向がここ数日見られるという状況がありますけれども、一方で医療提供体制の負荷の状況を見ますと、札幌市では(病床使用率が)50パーセントを超えていますし、また重症の方もここ数日で増えている状況などもあります。厳しい状況が続いていると思っています。予断を許さない状況だというのが私の受け止めです。緊急事態宣言を今後どうしていくのかというところについて、これは今、出口のところもいろいろ政府のお話を聞いていると、ワクチンの接種ですとか、医療の状況も踏まえて、今、基準を見直すことなども議論されているという状況もあります。ですから、そういったところも含めた中で判断されていくと考えていますが、私としては、これは予断を許す状況ではないと思っています。緊急事態宣言(の期限である)12日までとにかくしっかりと、できるだけ今の状況を改善していく、このことに精一杯、皆さんと取り組んでいくことが重要だと思っています。
 それと、大事なポイントとして、北海道は確かに減少傾向がここ数日見られますけれども、一方で大阪府をはじめとする地域などは顕著な減少が見られないなど、全国的にほとんどの地域が緊急事態宣言並みの感染状況になっていますから、そういった日本全体としての対応のあり方も見た上で、国においては判断していただきたいと思っています。一部の地域だけを捉えるのではなく、日本全体の中で、今の対策の妥当性も含めて考えることが必要ではないかと思っています。

(朝日新聞)
 臨時医療施設についてお伺いしますが、道では既に、(札幌市)南区の宿泊療養施設に臨時医療施設を設置して運営しているところかと思いますが、この施設と今回新たに設置する施設との区別、また札幌駅前に設置した理由についてお聞かせください。

(知事)
 宿泊療養施設を活用した臨時医療施設ということで、既にこれは全国的にもかなり早い段階で去年の5月にやりました。今回やります臨時医療施設につきましては、抗体カクテル療法、中和抗体薬により重症化を防止する治療も行うということです。
 その中で、例えば札幌医科大学との連携、また札幌市との連携を考えた中で、やはりこの立地の優位性と言うのですかね。まさに中心部になりますので、他の宿泊療養施設との連携を強化できるだろうということ。それと、病状悪化を当然避けるのですけれども、例えば、抗体カクテル療法は、治療してから24時間経過を見ます。そういう状況の中で、万が一、症状の悪化などがあった場合、速やかに医療機関と連携していくので、搬送する距離なども考えなければいけない。医療従事者の協力体制なども考慮して、今ある宿泊療養施設の中で、このフォルツァ札幌駅前で臨時医療施設を開設することが一番有効だろうということで、札幌市、札幌医科大学などとも協議させていただいて、決めたということです。

(朝日新聞)
 もう一点お伺いしますが、他府県で検討されているという野戦病院といわれる、例えば展示会場ですとか、そういった体育館ですとか、そういった場所を使った大規模な療養施設や臨時医療施設の開設。道としては、検討されている状況にあるのでしょうか。

(知事)
 野戦病院については、これは基本的に当たり前のことですけれども、治療行為がしっかり受けられる医療機関で、治療が必要な場合に入院されて軽快されていく、これが必要だと思っています。その上で、患者、療養者の急増、また、新しい治療の中和抗体薬を投与すること。さらに、今後(感染者数が)増加してくるであろうことも見据えた上で、今回、臨時医療施設を設置します。 
 今、14床ですけれども、この宿泊療養施設単体のホテルで、200人以上受け入れできます。中和抗体薬の治療は、おそらく東京都とかで設置しているところで、大体1日十数件ぐらい、中和抗体の治療をやっています。北海道としても、札幌市と連携しながら1日当たり10件ぐらい、できる形になるのではないかと思っていますが、そういった状況の中でしっかり医療を提供することが大前提だと思っています。
 その上で、例えば、東京都、大阪府などのように、数千人というオーダーで爆発的に感染が拡大して、まさに医療の大災害レベルの状況になった際に、本来では、それは望ましいことではないわけですが、野戦病院という言葉が良いのかどうか分かりませんけれども、臨時的に大規模な受け入れ体制をどうしていくのか。こういうことも検討ということになるのだと思うのですが、今、皆さんのご協力によって、病床(使用率は)厳しいですけれども、何とか50パーセントを切っている。日本で3番目に多い人口当たりのベッドを、医療機関に協力いただいて1994床確保しています。今、50パーセントを切る状況で何とか、治療行為をやっています。
 また、宿泊療養施設も、さらに機能を充実してしっかり行っていくことが大前提だと思っています。その上で、まさに災害レベルという状況になった際に、どういった形で可能なのかは考えていく必要があるとは思います。

(STV)
 先ほど発言の中にもあったかと思うのですけれども、ワクチン接種の進捗によって、ワクチン接種が進んだ後の社会経済活動の制限緩和というのを、今、国で検討されているとおっしゃっておりましたけれども、感染抑制と社会経済活動を進めていく、両輪で進めていくと以前からおっしゃっていたと思うのですけれども、この国の検討については、知事自身の受け止めとしてはいかがでしょうか。

(知事)
 いろいろ賛否があると思っていますけれども、私はワクチン接種が進んでいった中で、どういった形で社会経済活動の段階的な緩和を図ることが可能なのか否かということは、しっかり国民の皆さんと議論しながら決めていく必要があるということで、これは知事会でも私が発言させていただいて、その発言も踏まえて緊急提言にも入れていただきました。
 直近で言うと、二つの出口ということで、この記者会見でも言ってきましたけれども、一つは今、緊急事態宣言が出ていますので、この出口をどういう形でやっていくのか、これは明らかにしていただきたいということ。もう一つの出口というのが、ワクチン接種が進んだ中での社会経済活動の制限の緩和、こういったものを検討してほしいということで言ってきました。
 今、分科会が行われているということで、今日、新聞などでも一部報道がありましたが、このこと自体は、私は必要だと思っています。その上で、具体化していくに当たって、やはり課題もあると思っています。例えば、ワクチン接種は希望された方がワクチン(接種)を受けるということになっていますから、当然希望されない方はワクチン(接種)を受けません。ですから、そういった方への対応をどうしていくのか。また、ワクチンとともに検査でやっていくといったときに、この検査を活用する場合の枠組みがどうなっていくのか。さらにこの検査の費用負担は、今、ワクチンは希望する方は無料ですけれども、ワクチンを希望しない方が検査を受けるというときに、その検査は各々払ってくださいということになるのかどうなるのかという話と、制限を緩和するにあっても、範囲だとか、いつそれをやっていくかという実施の範囲とか時期の話。あと、国と自治体(の役割分担)があります。国家運営の大方針に直結するような、社会経済活動の段階的な緩和とかそういう話になってくる。各国も国として悩みながら大方針を出していますけれども、その上で、国と都道府県や市町村で、この役割をどうやって分担してやっていくのかということ。いろいろ課題があると思っています。ですから、早めに議論しないと時間がなくなってしまうのではないかということで言ってきました。今、分科会で議論しているということですので、まず国としての大方針、考え方を、早急に明らかにしていただいた上で、国民的な議論をしっかりする。その課題の対応に向けた制度設計も国にしっかり求めていきたいと思っていますし、知事会とも連携して対応していきたいと思っています。

(日本経済新聞)
 今のお答えにちょっと絡んで教えていただきたいのですが、まず国の議論が必要だというのは分かった上で、ただ個々の自治体、都道府県によって、やり方は変わってくる部分はあると思うのですね。そういう中で、北海道としてどうするかみたいな部分も、ベースは国が議論していくのと並行して考えていく必要があるのではないかと思うのですが、北海道としての議論の進め方であるとか、あるいはこういうことをしたほうが良いのではないかというお考えであるとか、そういった部分についてお聞かせください。

(知事)
 今お話したとおりです。課題があると思っています。四点申し上げましたけれども、ワクチンを希望されない方もいますので、そういった方々への対応。また、検査を活用する場合の費用ですとか枠組み、制限を緩和する範囲、時期、また役割分担、こういう課題があると思っています。当然、国としての基本的な考え方が出てくるのではないかなと思っていますし、早く出したほうが良いのではないかなと、私は思っています。そういったものが出てきたタイミングで、いろいろな課題を、地域ごとに検討する必要があると思っています。いずれにしても早く、基本的な考え方を出していく。その上で地域としても考え方を、今私が申し上げたような点なども踏まえて、道としても考えていく必要があるのではないかと思っています。

(HBC)
 本日、菅総理が総裁選に立候補しないことを表明されました。こちらのことについて、知事はどのように受け止めておられますでしょうか。

(知事)
 これは当然のことながら総理がご判断すると。政治家は、自らの道をどうするかというのは、最終的にはご自身が決定されるわけですから。総理のぶら下がりというか会見を見ますと、コロナ対策に専念したいということで、総裁選には出ないのだというお話をしていましたので、そういうことだと思っています。私としては突然のお話だったので、大変驚いたというのが率直な思いです。

(HBC)
 追加で伺いたいと思います。これまで新型コロナにおいて、総理も力を入れてとおっしゃっていましたけれども、道とも連携をいろいろ密にするところもあったと思いますが、菅政権についてどのような評価を知事はされていますでしょうか。

(知事)
 今月末まで、総裁としての任期を果たされていくということです。総理として、新型コロナウイルスの対応に専念することには変わりはないのだと思っています。まず、この新型コロナウイルスの感染拡大が、今、一部地域では災害レベルという状況になっています。今、総裁選ですとか、選挙ですとかいろいろな政治日程があると。これも当然重要なことでありますが、今、在宅での療養を余儀なくされ、苦しんでいらっしゃる方々や、不幸にも医療につながらない中でお亡くなりになるという状況などもある、まさに緊急事態です。そういう状況の中で、一時も対応等を緩めるわけにはいかない状況にあります。都道府県知事も、それぞれ現場で陣頭指揮を執っています。国政においても、さまざま政治日程があると思いますけれども、そこに全力で向き合っていただきたいと思っています。

(HBC)
 私からこの件であと一点だけ。総理と知事なのですけれども、知事選で当時官房長官だった菅総理が応援に入ったりですとか、同じ大学の同窓ということもあり非常に深い関係にあったとも思います。今後、道政に対して菅総理が交代することの影響、これはどのようにお考えでしょうか。

(知事)
 総理になられる以前から、もっと言えば官房長官になる前から、もう10年来のお付き合いというか、菅総理とはさまざまなお話をさせていただく機会がありました。総理になられてからも、さまざまなお話をさせていただいてきました。現場の声、北海道の状況なども、直接お話もさせていただきました。最近だと7月になりますけれども、直接20分ぐらいお時間をいただいて、今のコロナ対策をはじめ、カーボンニュートラルの取り組み、ゼロカーボン北海道、これは縦割りの打破ということで、各省連携で取り組みを強化してほしいと総理に申し上げて、すぐにタスクフォースを設置して、骨太の方針に盛り込んでいただきましたけれども、そういった形で連携してきました。ちょうど今、デジタル庁も立ち上がりましたけれども、カーボンニュートラル、2050年までに実質ゼロ、この表明も菅総理が行いました。
 コロナ対策でも、ワクチンを(1日に)100万回接種ということで、私も最初、かなり現場感覚的に難しいのではないかということで、総理ともお話もしましたけれど、総理はとにかく、重症化しやすい65歳以上の高齢者の方が亡くなっていくことを何とか防ぐために、自分が言わないと、トップリーダーが言わないと進んでいかないのだということで、会うたびにワクチンの接種をとにかく一丁目一番地でやるのだということでおっしゃっていました。現場的には、市町村が本当にワクチンの接種に向き合って、全力で取り組んだ結果でもあるのですが、やはり総理がトップリーダーとして、そこに大きく力点を置いたというのは、私は間違っていなかったと思っています。実際に先ほど申し上げたように65歳以上の方の感染、また重症化、お亡くなりになるということが少なくなっている現実もあります。ですので、さまざま取り組まれて、まだ今月いっぱいまで毎日、毎日、対応があると思っています。まずそこに全力で取り組んでいただきたいと思っていますし、また北海道のこともよく分かっていただいている方ですから、そういう意味では、どのような立場になられても、北海道に対してお力添えいただきたいとは思っています。

(北海道新聞)
 今の菅総理の(自民党総裁選)不出馬の関係についてなのですけれども、先ほど受け止めについて、突然で驚いているというのが率直な思いだというお話でしたけれども、その思いの部分をもうちょっとお聞かせいただきたいなと思っていまして、やはり、先ほどの質問でもございましたが、相当深い関係で、これまでさまざまな道政運営に対する影響も菅総理は及ぼしてこられたと思うのです。そういった意味で、その思いというのは、どういった思いだったのですか。やはり残念だなという思いがあったのでしょうか。

(知事)
 総理という立場は、まさに国のリーダーであり、総裁選に出るか出ないかというのが直結する話ですから、これは(政治家として)われわれの想像できないような熟慮の上に決断されたのだと思いますけれども、総裁選に挑戦するという趣旨のご発言も直前までされていましたから、そういう状況の中で、コロナ対策に専念するために出ないのだということに、素直に驚いたということです。
 来週、(菅総理が)会見されるとおっしゃっていたので、まず国民の皆さまに対して、総理のほうからしっかりご説明などもあると思いますので、私もそういったものを見て聞いて、受け止めたいと思っています。

(北海道新聞)
 つまり知事は昨日から今日にかけて、菅総理とやりとりとかは特にはされていらっしゃらないのですか。

(知事)
 していません。

(北海道新聞)
 道政運営への影響、先ほども質問にありました。私が取材する中で、道の幹部などからは、道政に対して、菅総理は相当思いを持ってさまざまな施策を講じてきているという話でした。この後、誰が総理、総裁になるのかというのは、まだまだ全然分かりませんけれども、その道政運営への影響というのは、これまでと比べてちょっと低くなってくるのではないかということも懸念されるわけなのですが、その辺、知事としてはいかがお考えでしょうか。

(知事)
 そこはないと思っています。それこそ国政を担う多くの皆さま、与野党ともに、北海道のポテンシャルや非常に魅力的な価値、可能性に期待を寄せ、または、支援を今もいただいていますので、そういった意味では、これからも多くの方々にお力添えをいただきながら、北海道をより良くするために、知事としての役割を果たしたいと思いますし、また多くの方々にお力添えをいただきながら、引き続き道政を運営していきたいと思っています。

(読売新聞)
 話題が変わりまして、東京オリンピック・パラリンピックについてなのですけれども、あさってでパラリンピックが閉幕します。7月からの東京オリパラでは道内出身選手が多くメダルを獲得されて、道民に希望を与えてこられました。これまでオリンピックでは、直近のリオや平昌(ピョンチャン)も含め、メダリストに道民栄誉賞の授与がありましたが、今回の東京オリパラに関して、その検討状況を教えてください。

(知事)
 東京オリンピック・パラリンピックにどさんこ選手が出場しまして、道民に勇気と感動を与えていただいているところでございます。オリンピックでは夏季最多となります6種目、8名の方、そしてパラリンピックはまだ終わっておりませんけれども、現時点で1名の方がメダルを獲得しています。メダリストが誕生しています。心から皆さまにお喜び申し上げたいと思っています。メダルを獲得された皆さまに対しては、栄誉賞を贈ることで現在、調整させていただいていますので、そのように今後対応していきたいと考えています。

(朝日新聞)
 先ほどの話題にありました、胆振東部地震からの復興に関してお伺いします。復興の事業、道ではロードマップを作成して進めているところだと思います。復興の状況に関して、知事はまずどのように認識され、どのように評価されていますでしょうか。

(知事)
 先ほど申し上げたことと重なりますけれども、インフラ、農地、林道などの復旧や、応急仮設住宅から恒久的な住まいへの住み替えなどの復旧・復興の取り組みが、着実に進んでいるという認識であります。
 ただ一方で、先ほど申し上げたように、森林の復旧ですとか、被災者の皆さまの心のケアなど、引き続き取り組みが重要だと思っています。被災前の安心でにぎわいのある日常、これを1日も早く取り戻せるように、さらにその先の地域創生を見据えて、被災地域の実情をよくお伺いしながら、復興に向けた取り組みを全庁挙げて、一丸となって取り組んでいきたいと思っています。

(朝日新聞)
 もう一点追加でお伺いします。森林や林業の復興に関して、知事は被害があった胆振地域の森林や林業について、どのような発展の可能性があるとお考えでしょうか。

(知事)
 まずは大きな被害(が発生した)、4千ヘクタールを超える森林の崩壊がございます。人家や農地などに近く、緊急の復旧が必要な治山、林道施設の工事については、年度内に完了するという見込みであります。
 一方で、森林の再生については平成30年10月に設置しました、被災3町と森林組合などが参画する(胆振東部森林再生・林業)復興連絡会議におきまして、対応について協議を重ねてきたところでございます。町や森林組合と、これまで以上に緊密に連携して、国の予算の確保にしっかり努めるとともに、道有林での植栽試験の成果も反映した実施計画を年度内に取りまとめる、そういったスケジュールで進めていきたいと考えています。被災森林の再生に皆さんの声も伺いながら、全力で取り組んでいきたいという考えであります。

(朝日新聞)
 話題を戻りまして恐縮です。菅総理の総裁選不出馬に関してなのですが、私、昨年9月の時に、会見で知事がおっしゃったことを、今もすごく良く覚えているのですけれども、(当時)菅官房長官というのは、やはり信念の人であり、そしてぶれない人であると、そういう趣旨のことをおっしゃって、多分繰り返されたと思いますが、強調されたのを記憶しています。今回のこと、確かにコロナ(対策)に専念するといえば、確かにそうあっていただきたいとは思うものの、やっぱりレームダック化することは避けられないという政治的な意味合いがあると思います。その辺りの評価というのは今も変わらないのか、そして、やめると言って物事をやるということについては、どうお考えなのかお聞かせください。

(知事)
 これは、総理ご本人が国民の皆さまに対して、この決断に至った背景といいますか、思いといいますか、そういったものを、当然総理ですから、直接お話をすることが私は重要だと思っています。
 その上で、現場を預かる都道府県知事として、特にコロナ対策の陣頭指揮を対策本部長として執らせていただく立場から言わせていただくならば、総理のお考えの中に総裁選挙とコロナ対策の両方は、なかなか難しいというような趣旨のお話もされていました。本来であれば、どうやってそれを両立するかということを考えることも重要なのだとは思いますけれども、今、災害レベルとも言われる感染状況、また、医療提供体制も極めて厳しい地域など、連日、日々対応をしていかなければならないという状況の中で、与えられた任期を全うしつつ、そこを最優先で取り組んでいく、こういった思いは一貫してお話されてきたのではないかと思っています。
 これは、私から見た視点でありますので、ご本人がどういう思いで判断されたか。ここはしっかり国民の皆さまにお話しすることを期待したいと思っています。

(朝日新聞)
 最後に、関連で一点お伺いしますが、近い歴史を振り返っても、総理に復帰された方もいらっしゃいます。そういった中で、知事ご自身、個人的にでも結構ですが、菅氏の捲土重来と申しますか、将来にわたっての復活、そういったものを希望するというお気持ちはおありでしょうか。

(知事)
 私は、まだ10年ぐらいのお付き合いではありますけれども、私は30歳で(夕張)市長になりまして、今40歳です。ですから、公選職になってまだ10年ぐらいしか仕事をしていません。そういう状況の中で、やはり関わりを継続してきた政治家の方であり、夕張市や北海道へさまざまに思いを寄せてくださってきた方であることは事実です。どういった立場で今後活動されるのか、これもご本人が当然決められることであると思うのですけれども、この北海道のために、また日本のために、その力、今まで得てきた経験なども踏まえて、ご活躍いただくことを期待しています。

(STV)
 話変わりまして、ヒグマの話なのですけれども、三つ目の資料にありました、呼び掛け。けがをしないように、出遭わないように呼び掛けるとあったと思うのですけれども、もちろんそれも非常に重要なことだと思うのですけれども、出て来させないための対策として北海道ヒグマ管理計画の改定作業が今進んでいると思うのですけれども、この辺りの改定作業の具体的な今後に向けたビジョンですとか、あるいは予算面でのそういうバックアップ等々で、今知事のお考えあればお聞かせください。

(知事)
 先ほど申し上げたように被害なども過去最多になっていますので、今、専門家の方々にも、さまざま検討いただいているという状況であります。今の状況を受けて、かなり道民の皆さまの中に不安な思いもあります。一方で、ヒグマがこの北海道の地で市街地に入ってくるという状況は、今まではあまりなかったわけですけれども、そういった状況変化などに対応した新たな考え方も必要だと考えていますので、まずは計画をしっかりと作った上で、しっかり実効性のある中身にしていきたいと思っています。

(読売新聞)
 話が戻って恐縮なのですけれども、菅首相の総裁選不出馬の件なのですが、その後行われます衆院選挙でですね、地方の党員、党友からですね、菅さんでは戦えないのだというような声も随分あるということで、不出馬にはそういった判断も働いたのではないのかなというふうには推測されるわけなのですけれども、自民党の選挙については、今後の総裁選で、どなたになるかで大きく変わるのだと思いますけれども、今回の菅首相の辞任によって、衆院選にどういう影響があると知事は思いますでしょうか。

(知事) 
 それはマスコミの方がいろいろ論評されるのだと思いますけれども、総裁の選挙が行われるわけですから、皆さんの関心が高いコロナ対策をはじめ、さまざまな政策議論が行われる中で、総裁選は党員による(投票となる)のだと思いますけれども、国民の皆さまも、投票する行為はできないとしても、結果として日本のリーダーを選ぶということであれば、どういったことを主張されて、選挙に臨んでいかれるのかという関心が高くなってくると思います。
 われわれ都道府県知事の立場でも、国のコロナ対策がどういった方向に行くのかによって、当然のことながら道民生活に与える影響も大きいですから、そういったところをしっかり見ていきたいと思いますし、まだ今の時点で、どういったお考えを持って、誰が出てきて、どうなるのかというのが見通せないという状況を、早く改善していく必要があるのではないかという気がします。

この文章については、読みやすいよう、重複した言葉づかい、明らかな言い直しなどを整理し作成しています。(文責:広報広聴課)

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